人物伝・評伝

2014年6月 1日

ジェフ・ベゾス 果てなき野望

◇◆第863回◆◇

4822249816ジェフ・ベゾス 果てなき野望
ブラッド・ストーン 滑川海彦(解説)
日経BP社 2014-01-08

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Amazon創業者のライフヒストリー
私は現在、生鮮食料品以外のものはほぼすべてAmazonで買っています。かつては本だけでしたが、ここ数年、ありとあらゆるものを買える品揃えになりました。無料配送やコンビニ受取りといったサービスが充実して、店舗へ出かけていって買うよりもずっと便利です。Amazonは人々の買い物習慣を大きく変え、いまや生活必需サービスです。 そのAmazonを創業したのがジェフ・ベゾスです。彼の生い立ち、創業と経営哲学、経営手法について、ベテランジャーナリストが綴ったノンフィクションです。

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2014年1月24日

イサム・ノグチ

◇◆第839回◆◇

406273690Xイサム・ノグチ(上)――宿命の越境者 (講談社文庫)
ドウス 昌代
講談社 2003-07-15

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天才芸術家の複雑な生い立ち
イサム・ノグチ(1904-1988)は二十世紀を代表する彫刻家です。父は日本人で詩人の野口米次郎、母はアメリカ人のレオニー・ギルモア。結婚していない二人の間に生まれ、3歳で母とともに日本に渡ります。しかし、父は別の女性とすでに結婚していました。イサムの将来を考えた母によって、13歳のときに単身アメリカに戻ります。「宿命の越境者」という副題が示すとおり、アメリカと日本という二つの国の間で、いずれの国においても異端者として育ったことが彼の芸術の原点となります。

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2013年10月10日

人生は廻る輪のように

◇◆第823回◆◇

4042920012人生は廻る輪のように (角川文庫)
エリザベス キューブラー・ロス Elisabeth K¨ubler‐Ross
角川書店 2003-06

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人生に偶然はない
エリザベス・キューブラー・ロスの自伝です。彼女は死とその受容に至る心理的過程について研究し、ホスピスケアの重要性を世界に知らしめた第一人者として知られています。しかし、彼女自身は「死とその過程の女」、死の専門家とみなされることを第一章で明確に否定しています。それでは彼女の仕事を半分しか説明したことになりません。彼女は多くの死に至る患者たちと接するなかから死後のいのちの存在を確信し、後半生はその研究にたずさわったからです。彼女は自身の仕事を「生の重要性の研究である」と本書の冒頭に書いています。

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2013年2月15日

新島八重 おんなの戦い

◇◆第789回◆◇

4041103061新島八重 おんなの戦い (oneテーマ21)
福本 武久
角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-08-10

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果敢に運命を受け止めた新島八重の生涯
新島八重、平成25年のNHK大河ドラマ『八重の桜』のヒロインとして取り上げられ一躍脚光を浴びています。名前を聞いたときは「それ、誰?」と思いました。実際、本書を読むと、近年まで彼女のことは郷里の会津でさえ、それほど知られた存在ではなかったとか。しかし、その生涯のドラマチックなことは著者も「はじめに」の冒頭に書いています。彼女がその名を一躍はせたのは明治元年(1868)の戊辰戦争でした。

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2012年6月20日

柔の恩人

◇◆第757回◆◇

4093897417柔の恩人 「女子柔道の母」ラスティ・カノコギが夢見た世界
小倉 孝保
小学館 2012-05-15

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「女子柔道の母」の伝記
女子柔道は日本のお家芸として、今では五輪で大量にメダル獲得を期待できる種目になっています。しかし、女子柔道を五輪種目にするためにほぼ独力で道を切り開いたアメリカ人女性柔道家がいたことを日本人はほとんど知りません。ラスティ・カノコギがいなければ女子柔道が五輪種目に採用される日は20年は遅れただろうと山下泰裕氏は語っています。

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2011年10月 4日

ベルト・モリゾ

◇◆第722回◆◇

4093875928ベルト・モリゾ―ある女性画家の生きた近代 (小学館ヴィジュアル選書)
坂上 桂子
小学館 2005-12

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ベルト・モリゾとはどういう画家か
日本で印象派は大変人気があります。マネ、モネ、ルノワール、ドガといったところはもちろん、シスレー、ピサロといった名前もよく知られています。しかし、モリゾは彼らに比べると知名度が落ちます。印象派が実際に活躍した時代、「もっとも正統的な印象派」といわれたにもかかわらず、です。素早いタッチで光をとらえたその絵は、印象派をも超えようという新しい何かをはらんでいます。あまり知られないままだった最大の原因は、モリゾが女性だということにあるでしょう。長く芸術の世界では女性画家はほとんど存在を認められませんでした。

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2010年10月28日

カラヴァッジョ巡礼

◇◆第699回◆◇

4106022001カラヴァッジョ巡礼 (とんぼの本)
宮下 規久朗
新潮社 2010-01

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光と闇をあわせもった天才、カラヴァッジョ
カラヴァッジョは十七世紀初頭に活躍し、バロックの幕開けを飾った西洋美術の巨匠のひとりです。数多くの宗教画の名作を残し、38歳で早世します。驚異的な絵の才能を持つと同時に、暴力的で問題の多い性質の持主でもあり、画家としてローマで売れっ子になりながら、暴力事件が絶えず、ついに35歳のときに殺人を犯して逃亡者の身となります。

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2010年10月24日

ゴッホのフランス風景紀行

◇◆第698回◆◇

4763099221ゴッホのフランス風景紀行―パリ、アルル、サン・レミ、オーヴェール
佐々木 三雄 佐々木 綾子 小野 規
求龍堂 1999-08

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四年あまりで表現の極限に至ったゴッホ
ゴッホは37歳で亡くなっています。それすら夭折だと思いますが、さらに驚くのは画家になろうと決めたのが27歳の時で、現在代表作として知られているものは33歳になる直前にパリに来て以降、わずか四年あまりの間に描かれたものだということです。正式な美術教育はほとんど受けておらず、あのゴッホを特徴づける強烈な色彩とうねりは人生の最晩年に獲得した表現です。オランダで描いていたころの絵は暗いどんよりとした色彩ですが、フランス、特に南仏のアルル滞在から色彩が劇的に変わっていったようです。

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2010年2月25日

完全なる証明

◇◆第648回◆◇

4163719504完全なる証明
マーシャ・ガッセン  青木 薫(訳)
文藝春秋 2009-11-12

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姿を消した謎の天才の実像を追う
100万ドルの賞金がかけられた数学の七つの難問のひとつ「ポアンカレ予想」。2002年にその証明をインターネット上にアップしたロシアの天才グレゴーリー・ペレルマンは、なぜかフィールズ賞を拒否し、数学界との連絡を絶ち、100万ドルの受け取りも拒否したままです。著者はペレルマン同様、ユダヤ人でありながら選抜されて数学専門学校で学び、迫害を逃れて一家でアメリカに亡命したという経歴の持主です。それゆえに彼を取り巻く世界が丹念に描かれています。

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2010年2月10日

多面体と宇宙の謎に迫った幾何学者

◇◆第644回◆◇

4822283828多面体と宇宙の謎に迫った幾何学者
シュボーン・ロバーツ  糸川 洋(訳)
日経BP社 2009-01-22

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静かなる大幾何学者の伝記
20世紀の大幾何学者ドナルド・コクスター(1907-2003)の伝記です。数学分野だけでなく、物理学、建築学、芸術にも影響を与えました。彼の業績は一言でこれと言えないほど大きなものです。その最大の功績は古典幾何学が絶滅しかかっていた時代に登場し、その灯火を守り続けて現代科学に古典幾何学のエッセンスを引き継ぐ足場を作ったことでしょう。20世紀は代数幾何学や解析幾何学といった図形を扱わない(排斥さえした)幾何学が幅をきかせた時代でした。コクスターはそのような時代の中にあって、あくまで図形と直観を求め、美しさを追求したのです。

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