日本史

2014年2月22日

クアトロ・ラガッツィ

◇◆第842回◆◇

4087462749クアトロ・ラガッツィ (上) 天正少年使節と世界帝国 (集英社文庫)
若桑 みどり
集英社 2008-03-19

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天正少年使節とその時代の日本を世界史的な視点で描く
クアトロ・ラガッツィとは「四人の少年」という意味です。16世紀末、天正少年使節としてヨーロッパを初めて公式に訪問した四人の少年(派遣当時は13歳前後)を軸に、当時の世界情勢と日本の安土・桃山から江戸初期にかけての歴史を描いています。単行本では本文のみで500ページを越す二段組のもので、読み応えたっぷりです。誰かがこの大部の著作の主人公というわけではなく、16世紀半ばにキリスト教が日本に伝来してから、徳川幕府によって鎖国されるまでの時代を、さまざまな史料を駆使して鮮やかに描き出しています。

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2014年2月15日

気候で読み解く日本の歴史

◇◆第841回◆◇

4532168805気候で読み解く日本の歴史―異常気象との攻防1400年
田家 康
日本経済新聞出版社 2013-07-23

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異常気象が歴史に与えた影響
平城京の時代から現代まで、気候が日本史にどのような影響を与えてきたのかを多くの文献を駆使して具体的に解説しています。学校で習う日本史ではこういう観点から歴史を見ることがありませんから、非常に新鮮な思いがします。気候が政治の変遷に少なからぬ影響を与えていることを知ると同時に、各時代の為政者が異常気象とそれにともなう飢饉にどのように立ち向かったのかもわかります。

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2013年10月15日

新選組始末記

◇◆第824回◆◇

4806148091新選組始末記 (新人物文庫)
子母澤 寛
中経出版 2013-07-05

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新選組の結成から消滅まで
本書の初版は昭和3年(1928)です。 著者が大正から昭和にかけて、元隊士や壬生周辺の古老や子孫に取材を重ねて新選組の新たな姿を描きました。それまで賊軍の人殺し集団として語られることが多かった新選組が、この作品をきっかけに見直されるようになったと言われています。新選組と隊士を研究するうえでは必携の基礎文献とされています。本書は初版本の総ルビを再現し、各章ごとに最新の研究をもとにした解説をつけています。巻末には西村兼文の『新撰組始末記』も収録されています。

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2008年8月10日

江戸の陰陽師

◇◆第492回◆◇

4409520350江戸の陰陽師―天海のランドスケープデザイン
宮元 健次
人文書院 2001-11

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家康が江戸を選んだ理由
江戸は徳川家康が居城を定めたころは湿地帯の中の田舎町でした。小田原の後北条氏討伐の恩賞として秀吉は、関八州を家康に与えましたが、引き換えに、長年所領としてきた駿河、遠江、三河、甲斐、信濃を取り上げました。あきらかに不利に見える国替えを家康はむしろ喜び、関ヶ原の戦いの後も幕府を江戸に開きます。なぜこのデルタ地帯を家康はあえて幕府の地として選んだのでしょうか。

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2007年2月 9日

豪商たちの時代

◇◆第374回◆◇

4532165733豪商たちの時代―徳川三百年は「あきんど」が創った
脇本 祐一
日本経済新聞社 2006-10

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江戸時代を支えた商人たちの歴史
江戸時代は1603年から1868年まで265年続きました。著者は江戸時代の日本が、世界的に見ても有数の豊かで進んだ経済社会であった、としてその実例を本書の中でいくつもあげています。土地に基盤を置いて発足した幕藩体制は貨幣経済が浸透する中期以後、矛盾が噴出するようになり、その問題を解決するうえで大きな役割を担ったのが商人たちでした。

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2006年10月 5日

<日本の中世7>中世文化の美と力

◇◆第331回◆◇

4124902166中世文化の美と力 日本の中世〈7〉
五味 文彦 松岡 心平 佐野 みどり
中央公論新社 2002-10

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現代文化の源流となった中世の文化
中世文化は、能、狂言などの演劇、日本庭園、禅宗や浄土宗の宗教思想、活け花といった現代につながる文化の源流・原型を生み出してきたという特徴があります。これらの文化が他のジャンルのものから影響を受けつつさまざまに変化を遂げていきました。権力が天皇と公家のものからしだいに武家のものへと移り変わって行く中で、分立する王権とともに文化も変化していきます。

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2006年6月29日

<日本の中世6>都市と職能民の活動

◇◆第270回◆◇
都市と職能民の活動 日本の中世 (6)
網野喜彦 横井清  中央公論新社  2003-02

●「封建制」ではくくれない日本の中世
第1部を網野喜彦氏が担当し、従来の日本の中世史が書いてこなかった「都市」と、そこに暮らすさまざまな職能民(手工業者から、遊女、巫女、博打うちまで含まれ、農業以外で生計をたてるさまざまの人々)、各地を結んだ流通ネットワークのさまについて述べています。これまでの中世論は、退廃的な京の都に住む貴族の政治を、草深い農村「東国」から起こった武士集団が打ち破るという構図でした。

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2006年6月14日

<日本の中世5>北の平泉、南の琉球

◇◆第261回◆◇

412490214X北の平泉、南の琉球 日本の中世〈5〉
網野 善彦 石井 進
中央公論新社 2002-08

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周縁部から見る中世の日本
歴史研究は文献資料に頼ることもあって、天皇のいる京都、また幕府のある鎌倉などの目から見た記述に偏りがちです。しかし、本書では東北と琉球にスポットをあて、それによって日本全体の中世の姿、周縁部のその先にある地域とのかかわりも含めたネットワークの中での中世日本を描こうとしています。

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2006年6月 4日

<日本の中世4>女人、老人、子ども

◇◆第257回◆◇

4124902131女人、老人、子ども 日本の中世〈4〉
田端 泰子 細川 涼一
中央公論新社 2002-06

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中世の女性の地位
「日本の中世」第4巻では、中世の女性の姿が描かれています。著者の田端泰子氏は京都橘女子大学教授で、日本女性史が専門、細川涼一氏も京都橘女子大学教授で、日本中世史、思想史が専門です。明治維新直後、欧米を視察した福沢諭吉は「日本国は女の地獄」と述べています。当時、欧米の女性と比較して、日本の女性がいかに酷い状況におかれていたか、それに気づいた福沢が、「地獄」と形容したのでした。

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2006年5月24日

<日本の中世3>異郷を結ぶ商人と職人 

◇◆第250回◆◇

4124902123異郷を結ぶ商人と職人 日本の中世〈3〉
網野 善彦 石井 進
中央公論新社 2002-04

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殺された商人をめぐって
「日本の中世」シリーズ第3巻です。鎌倉時代末期の応長元年(1311)正月のころ、ひとりの商人(仮の名を五郎としています)が和泉国で銭260貫文を借ります。彼は信濃国へおもむいて鍬を売り、代金の銭30貫文をそこの住人にあずけて坂東へ下る途中、山賊に襲われて殺されます。その後、彼の残した金をめぐって争いが起こります。彼は奈良興福寺一乗院の寄人(よりうど)でした。

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