哲学

2012年2月21日

命は誰のものか

◇◆第731回◆◇

4887597347命は誰のものか (ディスカヴァー携書)
香川 知晶
ディスカヴァー・トゥエンティワン 2009-08-05

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生命倫理について考える
医療技術の飛躍的な進歩に伴って、20世紀末ごろから人間社会は生命倫理という問題と常に向き合わざるを得なくなっています。代理出産、尊厳死、脳死、臓器移植など、本書ではそれらの問題について読者に問いかけ、考えるよう促しています。すべてある日突然自分が当事者になる可能性があることだからです。本書の問いを読んでいると、人間はなんと因果なものなのか、と思ってしまいます。これらは医療技術の発展によってもたらされたものです。人間が望み願い求めた結果素晴らしい未来がもたらされるはずだったのに、決してそんな日はこない、ということがわかります。

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2010年4月29日

14歳からの哲学

◇◆第659回◆◇

490151014214歳からの哲学 考えるための教科書
池田 晶子
トランスビュー 2003-03-20

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考えるということについて教えられる
中学生を対象に書かれた本ですが、「考える」ということについてあらためて教えられるところの多い本でした。人間は答えのない質問をしながら生きていく存在です。本書の前半「14歳からの哲学(A)」で取り上げられている課題は、恐らく誰もが一度は成長過程でふと心に抱く問いでしょう。ただ、それをいつの間にか忘れてしまうのです。さらに考えても「無駄」だと思い、どこかに押し込めてしまうのかもしれません。

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2010年3月13日

マイケル・ポランニー 「暗黙知」と自由の哲学

◇◆第652回◆◇

4062584573マイケル・ポランニー 「暗黙知」と自由の哲学 (講談社選書メチエ)
佐藤 光  講談社 2010-01-08

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暗黙知の発見
マイケル・ポランニーは「暗黙知」という言葉で知られています。これは、私たちの知識や認識の過程には、言葉によって明示することのできない暗黙の要素が含まれている、ということを意味します。この具体的な例が顔の認識として示されています。私たちはある人の顔がどこの誰かを知っています。何の苦労もなく知っていますが、その理由を説明することはできません。ある程度は説明できても、最終的には「あの顔はその人の顔なのだ」と断言して言葉による細かな説明を放棄する局面がやってきます。

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2010年2月 1日

方法序説

◇◆第642回◆◇

4000071807方法序説 (ワイド版岩波文庫)
ルネ・デカルト  谷川多佳子(訳)
岩波書店 2001-01

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近代精神確立の宣言書
「われ思う、ゆえにわれあり」という有名な言葉の出典です。近代精神の確立を告げ、今日の学問の基本的な準拠枠をなす新しい哲学の根本原理と方法が、ここに示される---とありますので、大層難しい大作かと構えてしまいますが、本文は100ページそこそこ、難解な文章ではなく、今風にいえば、考え方のハウツー本という感じです。正式な書名は「理性を正しく導き、学問において真理を探究するための 方法序説」です。

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2009年7月30日

論語

◇◆第599回◆◇

4000071696論語 (ワイド版岩波文庫)
金谷 治(訳注) 岩波書店 2001-01

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人としての生き方を問う
孔子(B.C.552-B.C.479)とその一門の言行録。儒教の四書五経のひとつです。2500年近く前の中国の大古典ですが、読んでみると人間というのは変らないものだ、との実感を強くしました。人間心理とその行動が変らないということです。服装や持ち物、生活習慣、政治形態が変っても古今東西人間の根本心理は変らず、おそらく2500年後どころか2万5千年後に読んでも同じでしょう。それゆえ、本書がずっと読み継がれているのです。

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2009年4月16日

ケアの本質―生きることの意味

◇◆第551回◆◇

4946509119ケアの本質―生きることの意味
ゆみる出版 1987-04

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ケアすることによって生きることの意味を見いだす
本書では「ケア」を看護や介護といった対人援助的な事柄としては使っていません。そうしたこともケアに含まれますが、ここではもっと広くとり、人が生きていく上で大切な心構え、といった意味合いで使われています。ケアの対象としては、人はもちろん、職務や作品というものも含まれています。副題が示すように、人は何かに向かってケアするとき、本当に生きることの意味を見いだすことができる、と主張しています。

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2008年7月 9日

生ける宇宙

◇◆第483回◆◇

4531081633生ける宇宙―科学による万物の一貫性の発見
アーヴィン・ラズロ 吉田 三知世(訳)
日本教文社 2008-02

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宇宙と万物に関する新たな思考の枠組み
アーヴィン・ラズロはアカシック・フィールド(量子真空)という概念を用いて、宇宙と万物に関する新たな思考の枠組みを示しています。人間は大昔から常にそうした大きな枠組みを求めており、創生神話はその典型でしょう。やがてそれが西洋ではキリスト教神学に取って代わられました。それらの枠組みにはいつも意味と目的がありました、近代の科学革命が起こるまでは。

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2008年7月 4日

理性の限界

◇◆第481回◆◇

4062879484理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書 (1948))
高橋 昌一郎
講談社 2008-06-17

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理性の限界を架空のディベートで明らかにする
人間がさらに進歩すれば、究極の完全なる政体、あらゆるものを解明し予測する科学、世界のすべてを証明する理論体系が見出されるはずだ、と今も考えている人はいるでしょうか。それらがすべて人間の限界の外にある、ということがすでに証明されています。生身の人間が100mを5秒で走る日が永遠に来ないように(肉体の限界)、人間理性の限界があること、それについて架空のシンポジウムでのディベートを通じてわかりやすく解説してあります。

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2006年10月 2日

老子(全)

◇◆第330回◆◇

4885031834老子(全)―自在に生きる81章
王 明
地湧社 2005-05

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二千五百年前に書かれ、今なお新鮮な思想
老子は中国の春秋時代(紀元前五世紀頃)の思想家です。『史記』の記すところによれば、周の王室の書庫の記録官だったものの、周が衰えたため洛陽の都をさり、函谷関を通る際に関守の尹喜の求めに応じて『老子』を書き残しました。上下巻あわせて五千字余の小さな本ですが、その後の東洋の思想と文化に絶大な影響を与え、それは今なお衰えることがありません。

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2005年11月10日

制約されざる人間

◇◆第138回◆◇

439336418X制約されざる人間 (フランクル・コレクション)
ヴィクトール・E. フランクル Viktor E. Frankl
春秋社 2000-07

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人間は精神と心理と肉体の統合された存在
フランクルはロゴセラピーの創始者として、また『夜と霧』の著者として有名ですが、「哲学者、思想家としても第一級の人物として評価されるべきである」と監訳者はあとがきで述べています。本書はフランクルのそうした側面に焦点をあてるべく、彼が49年夏学期にウィーン大学でおこなった講義をもとにまとめられたものです。

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