心身問題

2009年7月29日

自我と脳

◇◆第598回◆◇

4783501378自我と脳
カール・ R.・ ポパー&ジョン・C・エクルズ

大村裕 西脇与作 沢田充茂(訳)
新思索社 2005-02

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唯物論はそれ自身によって超越されている
心身問題について哲学者ポパーと神経生理学者エクルズがそれぞれの専門分野で論じ、最後に対談しています。二人は唯物論に反対する相互作用的二元論の立場をとっています。ポパーは、すでに唯物論は自らを超越したとして、現代物理学の成果をあげています。現代物理学は、時間上の変化を通じて対象の性質や属性を持続して担う本質は存在しないことを示唆しています。宇宙は物体、物質の集まりではなく、事象や相互作用、変換可能なエネルギーの集まりといった方が適切です。唯物論の”物”が超越されてしまっているのです。

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2009年7月24日

心が脳を変える

◇◆第596回◆◇

4763194976心が脳を変える―脳科学と「心の力」
ジェフリー・M・シュウォーツ、シャロン・べグレイ 吉田 利子(訳)
サンマーク出版 2004-06

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心は宇宙を構成する基本要素
著者は強迫性障害(OCD)治療の世界的権威であり、本書ではその経験から、心は脳が生み出す”幻想”ではないこと、心が脳の方向づけをしていくことをさまざまな実験、理論を駆使して明らかにしています。唯物論ではなく、古典的二元論でもない、心身問題に関する新しい見方を示しています。治療経験と瞑想と仏教哲学、さらに量子論を基に、「意識(心)はそれ以上何ものにも還元しえないこの宇宙を構成する基本要素のひとつであろう」、というのが著者の見解です。

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2009年7月14日

意識する心

◇◆第590回◆◇

4826901062意識する心―脳と精神の根本理論を求めて
ディヴィッド・J・チャーマーズ  林 一(訳)
白揚社 2001-12

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意識にある二つの側面をあきらかにする
心身問題に関して著者は、<意識>として取り扱われているものには心理学的概念と現象的概念の二つがあると指摘します。心理学的概念は、行動の因果関係づけや説明づけの中で定められます。学習や認知などおおむね心の機能的な側面です。これに対して現象的概念とは、ある主体にとってそうした特性をもつとはどういうことであるかによって定められます。主体が持つ感覚、「この感じ」として理解する主観的な側面です。

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2009年7月 4日

心は脳を超える

◇◆第585回◆◇

心は脳を超える―人間存在の不思議

ジョン・C・エックルス、ダニエル・N・ロビンソン  大村裕、山河宏、雨宮一郎(訳)  
紀伊國屋書店   1989-02

心身問題と二元論的相互作用説とは
心身問題(心脳問題とも)とは、心と身体(主として脳)の関係についての哲学・科学上の長年に渡る大問題です。ひらたく言えば、人間の心は完全に物質的存在から生れるものなのか、何らかの非物質的存在が介在するものなのかを問う問題です。古代ギリシャ時代からすでに論じられており、現代の脳科学、認知科学、理論物理学、人工知能、心理学、哲学といった幅広い分野で研究され、さまざまな説が出されていますが、いまだ決定には遠いという難問です。

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