浄土仏教

2009年7月10日

法然の哀しみ〈下〉

◇◆第587回◆◇

409405622X法然の哀しみ〈下〉 (小学館文庫)
梅原 猛
小学館 2004-06

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布教者・リーダーとしての素晴らしい才能
下巻は布教者としての法然の姿から始まります。法然が強い感化力を持っていたことは間違いありません。勢至菩薩の生まれ変わりといわれるほどの深い智慧を持ち、戒はどの僧よりもきびしく、それだけで十分な尊敬を集められたばかりでなく、天然の温顔、寛容な慈悲で人々に接しました。後白河法皇を始めとする貴顕の人々から名もなき庶民まで広く専修念仏が広がっていったのは、こうした法然の姿とともに、人にあわせた臨機応変な布教方法によります。

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2009年7月 9日

法然の哀しみ〈上〉

◇◆第586回◆◇

4094056211法然の哀しみ〈上〉 (小学館文庫)
梅原 猛
小学館 2004-06

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もっとも日本的な仏教者・法然
著者は法然をもっとも日本的な仏教者だといいます。法然を原点にすれば、日本仏教のほぼ全体を見渡すことが可能だからです。聖徳太子に始まり、最澄、空海を経た日本仏教が最も光り輝いた時代が鎌倉時代初期、そのトップバッターとして登場したのが法然でした。そして、その後の鎌倉新仏教の祖師たちは直接的、間接的にも法然の影響を受けています。それほどのスターでありながら、法然について書かれたものは親鸞、日蓮、道元などに比べるとかなり少ないのが現実です。それはなぜでしょうか。

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2009年6月23日

法然讃歌

◇◆第581回◆◇

4121015266法然讃歌―生きるための念仏 (中公新書)
寺内 大吉
中央公論新社 2000-03

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激動の中世を背景に成立した信仰
著者は直木賞作家であり、91年から99年まで浄土宗宗務局長をつとめています。信仰者の立場から法然像を描き、さらに作家として法然の生きた時代の政治背景を描いています。法然(1133-1212)の生きた時代は、保元の乱(1156)、平治の乱(1159)、源平の争乱、鎌倉幕府成立(1192)といった政治の激動期でした。こうした時代背景が法然を阿弥陀信仰へと導いていったことは確かでしょう。

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2009年6月19日

ひろさちやの「法然」を読む

◇◆第579回◆◇

4333020530ひろさちやの「法然」を読む
ひろ さちや
佼成出版社 2004-03

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法然の魅力
著者は名だたる仏教の名僧・高僧のうちでも法然の人柄が一番好きだといいます。それは法然が持つ「いい加減さ」にあるようです。柔らかさとでもいうべきでしょうか。自己に対してはあくまで厳しく自省をしながら、他人を断罪したり、厳しく叱責したりするのではなく、すべてを包み込んで許し、慈愛の眼差しで見守る、そうした姿勢を持ち続けました。これは、すぐれた宗教者といえどもなかなかできるものではありません。そういう点が彼の最大の魅力です。

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2009年6月17日

歎異抄

◇◆第578回◆◇

4003331826歎異抄 (岩波文庫)
金子 大栄 (校注)
岩波書店 1981-01

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親鸞の教えの根本にあるもの
「歎異抄」は親鸞入滅後、弟子の唯円が師の言葉をもとに編んだものです。100ページに満たない薄い本ですし、もともとの文章がそれほど難解ではなく、現代語訳もついているので、手軽に読めます。念仏によって阿弥陀仏の本願にすがり、極楽浄土へ連れて行っていただく、という浄土仏教の教えの基礎がわかります。同時に、これほどシンプルな教えであるにもかかわらず、唯円が異説の跋扈を嘆いて本書を編まねばならなかったというあたりに人間の業の深さが見て取れます。

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2009年6月11日

法然の衝撃

◇◆第575回◆◇

4480089497法然の衝撃―日本仏教のラディカル (ちくま学芸文庫)
阿満 利麿
筑摩書房 2005-11

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凡夫のための宗教を初めて提唱した法然
著者は世界の宗教史でただ一人あげよ、といわれたら法然をあげるといいます。それほどに法然の提唱した専修念仏は衝撃的であり、従来の価値観を根底から覆すものでした。「凡夫のための宗教」は法然をもってして初めて出現したのです。凡夫とは、自己中心性を逃れられない人間のことです。自己のためにすべての欲望が動員され、神仏に祈願することさえ内容は自己の欲望充足のための脅迫であることが少なくありません。

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2009年6月 8日

法然と親鸞の信仰 下

◇◆第574回◆◇

4061581562法然と親鸞の信仰 下 (講談社学術文庫 156)
倉田 百三
講談社 1977-07-08

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親鸞の生涯と歎異抄の求心性
下巻は親鸞の生涯と「歎異抄」について述べられています。親鸞は浄土真宗の開祖ということになっていますが、それは彼の没後のことであり、親鸞自身は法然の後継者をもって任じており、新しい宗派を作る意志はありませんでした。「歎異抄」は弟子の唯円が親鸞の言葉を書き残したものです。著者は「歎異抄」について、私の知っている限り世界のあらゆる文書の中で、一番内面的な、求心的な、本質的なもの、と書いています。

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2009年6月 7日

法然と親鸞の信仰 上

◇◆第573回◆◇

4061581554法然と親鸞の信仰 上 (講談社学術文庫 155)
倉田 百三
講談社 1977-06

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法然の生涯と弥陀の誓願
上巻では、浄土宗の開祖法然の生涯とその絶筆である「一枚起請文」について書かれています。著者の宗教的熱情がみなぎっており、165ページの薄い本ですが内容は深く、日本で浄土思想・阿弥陀信仰を発展させた法然の人となりとその信仰にいたる過程がよくわかります。阿弥陀信仰は、阿弥陀仏があらゆる衆生を救うと誓った「弥陀の誓願」に救いのよりどころを求め、念仏を唱えることによって、浄土に救いとっていただくとする信仰です。

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