人文・思想

2017年11月 2日

サピエンス全史

◇◆第900回◆◇

430922671Xサピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福
ユヴァル・ノア・ハラリ 柴田裕之
河出書房新社 2016-09-08

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人類はなぜこれほど繁栄したのか
アフリカのかたすみで生きていた取るに足りない動物の一種だったホモ・サピエンス。それが地球全体に広がり、地球生態系をも左右するほどの繁栄を手にした理由について述べ、それゆえの今後についても考察しています。繁栄の理由をひとことで言うならば、進化の速度を超越する手段を身につけたから、です。

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2014年7月16日

史上最大の決断

◇◆第868回◆◇

447802345X史上最大の決断---「ノルマンディー上陸作戦」を成功に導いた賢慮のリーダーシップ
野中 郁次郎 荻野 進介
ダイヤモンド社 2014-05-30

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史上最大の作戦に見るリーダーシップ
戦争は、現代では忌むべきもの、避けるべきものと考えられています。多くの人命、財産が失われ、人間の愚かさの最たる結果が戦争というわけです。しかし、戦争にはもうひとつの側面があります。現代の戦略思想家エドワード・ルトワックは「戦争は巨大な悪かもしれないが、素晴らしい善を持っている」と述べました。私たちが享受している現代文明の成果のほとんどは、戦争によって発達したものです。戦争が人間の高徳と能力の基礎(善)、であるとしたら、そこから目を背けずに真摯に戦争と向き合う必要がある、と著者は書いています。

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2014年6月 3日

「ひらめき」を生む技術

◇◆第864回◆◇

4040800052「ひらめき」を生む技術 (角川EPUB選書)
伊藤 穰一 狩野 綾子
KADOKAWA/角川学芸出版 2013-12-07

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MITメディアラボの公開講義から学ぶ
著者はMIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボ所長。本書は著者のMITでの公開講義を再構成したものです。クリエイターや投資家として世界的に活躍する四人の友人たちとの対話が納められており、彼らの生き方や考え方を参考にして欲しいというのが著者の狙いです。登場するのは、ドラマ&映画監督、脚本家、映画プロデューサーのJ.J.エイブラムス、デザインファームIDEOの社長兼CEOのティム・ブラウン、ビジネス向けSNS「リンクトイン」の共同創業者兼会長のリード・ホフマン、コメディアンのバラチュンデ・サーストンです。

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2014年5月13日

日本の曖昧力

◇◆第861回◆◇

4569708293日本の曖昧力 (PHP新書)
呉 善花
PHP研究所 2009-04-15

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曖昧であることの力
著者は韓国・済州島生まれ、83年に来日しました。本書は、拓殖大学国際学部教授として「日本の文化と歴史」と題しておこなった講義がもとになっています。日本の最大の魅力を「曖昧さ」であるとしているのには、意外な気がしました。日本人の表現が曖昧であることは日本人自身が自覚しています。そして、そのことは日本の、日本人の欠点であると内外から指摘され続けてきました。しかし、著者は日本的な曖昧さは、いまの世界が陥っている限界を切り開く「曖昧力」として積極的に評価すべきである、というのです。

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2013年10月22日

15歳の日本語上達法

◇◆第825回◆◇

406216009915歳の寺子屋 15歳の日本語上達法
金田一 秀穂
講談社 2010-01-26

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言葉には大きな力がある
著者は日本語学者。国語ではなく、あえて日本語と言っています。表紙にも書いてあるように、日本語学者としての著者は「大切なのは漢字を記憶することより言葉で考えることだ!」、と言っています。言葉は非常に大きな力を持っている、というのは、それによって私たちは世界とつながっているからです。その具体例を本書の前半でさまざまな例をあげて示しています。言葉があるから人間は世界を把握でき、そこにあるものが何であるかを理解できます。

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2013年6月21日

グリム童話の世界

◇◆第807回◆◇

4004310415グリム童話の世界―ヨーロッパ文化の深層へ (岩波新書)
高橋 義人
岩波書店 2006-10-20

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メルヘンは何を語っているのか
「シンデレラ」「白雪姫」でおなじみのグリム童話。これらは19世紀にドイツのグリム兄弟が編纂したメルヘンです。今も世界中で愛されているこれらのメルヘンが本当は何を語っているのかを考察しています。冒頭に「メルヘンはキリスト教の敵?」とあります。メルヘンには古代ゲルマンの神話の影響が残っています。ヨーロッパがキリスト教化される以前にあった土着の信仰です。支配者層がキリスト教を受け入れてからも民衆の間では、より生活実感に近いこれらの素朴な神話や信仰が受け継がれ続けました。

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2013年5月30日

神話と日本人の心

◇◆第804回◆◇

4000233823神話と日本人の心
河合 隼雄
岩波書店 2003-07-19

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日本神話を通してみる日本人の心
日本を代表するユング派心理学者が深層心理学の視点から日本神話の特徴と意味について考察しています。日本神話を著した書物には『古事記』と『日本書紀』があります。わずかに『古事記』の方が古く、成立時の時代背景からか微妙に記述が異なっています。本書は双方を取り上げながらも、より古く原初の形を多く残していると考えられる『古事記』の記述を考察の中心に据えています。

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2013年3月24日

不識塾が選んだ「資本主義以後」を生きるための教養書

◇◆第795回◆◇

4797672374不識塾が選んだ「資本主義以後」を生きるための教養書
中谷 巌
集英社インターナショナル 2013-02-05

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今こそリベラル・アーツ
不識塾とは、編者が中心になって立ち上げた日本のビジネスエリートのための小さな私塾です。本物のリーダーを養成することを目標に、リベラル・アーツを学ぶ場として作られ、日本を代表する企業のリーダー候補生たちが送りこまれてきているといいます。一年間の費用が500万円。企業にとってそれだけの費用を払っても惜しくないと思わせるものがこの塾にあり、塾の卒業生たちの経験談が豊富に載っています。

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2011年2月20日

人生をどう生きますか?

◇◆第706回◆◇

4434069640人生をどう生きますか?
ジッドゥ・クリシュナムルティ  大野龍一(訳)
コスモスライブラリー 2005-10

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クリシュナムルティは何を伝えようとしたのか
クリシュナムルティは1895年にインドで生まれた思索家です。14歳で神智学教会の指導者リードビーダーに見出され、世界教師の器として霊的修行を開始します。ヨーロッパで学んだ後、インドに戻り<星の教団>の指導者となります。しかし、34歳のときに「真理は組織化しえない」として教団を解散し、以後、世界中を巡って講話と著作を通し人間の覚醒を促し続けました。本書は彼の講話や著作からのアンソロジーで、クリシュナムルティが何を伝えようとしたのか、を手早く知ることができます。

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2010年11月30日

君あり、故に我あり

◇◆第700回◆◇

406159706X君あり、故に我あり (講談社学術文庫)
サティシュ・クマール  尾関 修・尾関沢人(訳)
講談社 2005-04-09

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つながりを重視する思想
この表題はサンスクリット語の格言「ソーハム」を著者流に訳したものであり、デカルトの「我思う、故に我あり」へのアンチテーゼです。デカルトの二元論の特徴は、すべてを分割、分類、分析するということです。精神と物質を分け、心と体を分け、世界と個はばらばらに存在できると宣言したのです。ここに加わったのがニュートン物理学、ダーウィン生物学、フロイト心理学でした。これらはすべて自我を中心にとらえており、これこそが今日の環境や社会や精神の危機の根底にある、と著者は指摘しています。

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