エッセイ

2017年5月 7日

孤独の愉しみ方

◇◆第894回◆◇

4781604579孤独の愉しみ方―森の生活者ソローの叡智 (智恵の贈り物)
ヘンリー・ディヴィッド ソロー Henry David Thoreau
イースト・プレス 2010-09-01

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ヘンリー・ディヴィッド・ソローの名言集
ソローは1817年、アメリカのマサチューセッツ州コンコードに生まれました。ここは自然環境に恵まれ、思想活動の中心でした。ハーバード大学に学び、エマソンとも親交を深めたソローはやがて自然の魅力に深く惹かれるようになり、ウォールデン湖のほとりに小屋を建て、自給自足の生活を始めます。このときの生活と思索の記録が後に『森の生活』になり、シンプルライフの原点となりました。

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2013年8月22日

もし、日本という国がなかったら

◇◆第816回◆◇

4797672218もし、日本という国がなかったら
ロジャー・パルバース 坂野由紀子
集英社インターナショナル 2011-12-15

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日本人が一番知らない日本の素晴らしさ
著者はアメリカ生まれ、その経歴は複雑多彩で一言で表すのは困難です。冷戦時代にソ連へ留学、CIAの陰謀に巻き込まれ、日本へ。そのときから日本と日本文化に魅了され、40年以上を日本で過ごしています。本書は日本人、日本社会、日本文化の特性と素晴らしさを描きつつ、その間に著者の数奇な人生模様を淡々と描き、同時に井上ひさし、大島渚など多くの文化人との交流の様子も綴っています。

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2012年7月 1日

街場のマンガ論

◇◆第758回◆◇

4778037170街場のマンガ論
内田 樹
小学館 2010-10-04

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マンガを生んだ日本語という言葉
著者はフランス現代思想を専門とする哲学者であり、合気道の達人です。マンガ好きだという著者が自身のブログに綴ったものを一冊にまとめています。読んだことのあるマンガもそうでないものもいろいろありました。興味深く思ったのは、マンガが日本で誕生したことの背景に「日本語」の存在があるということでした。

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2012年5月24日

ナンシー関の記憶スケッチアカデミー

◇◆第753回◆◇

4041986095ナンシー関の記憶スケッチアカデミー (角川文庫)
ナンシー関
角川書店 2003-03

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コメントの妙技に抱腹絶倒
これが『通販生活』に連載されていたころに毎回読んでいました。そして、涙が出るほど笑ったのを覚えています。記憶スケッチとは、出されたお題の絵を全く何も見ずに、ただ記憶に頼って描くというものです。お題に応えた読者からの投稿をつのり、そこから著者が絵を選び、コメントをつけて発表するというものでした。

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2012年3月 4日

鳥あそび

◇◆第734回◆◇

4576101919鳥あそび
小宮 輝之
二見書房 2010-12-20

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野鳥図鑑を兼ねたエッセイ
上野動物園の園長である著者は20歳のときに日本野鳥の会に入会、大学でも野鳥研究会に所属し、卒業後は多摩動物公園に就職しました。園内では野鳥も担当動物のつもりで観察し、その後ガン、コウノトリ、トキ、ツルなど希少鳥類の飼育繁殖技術の開発に携わります。著者の50年に及ぶ野鳥とのつながりの中で得られた貴重な体験と写真をすべてカラーで紹介し、バードウォッチングの手引きであると同時に、図鑑にもなっています。

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2012年2月 9日

自分の中に毒を持て

◇◆第729回◆◇

4413021452自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか
岡本 太郎
青春出版社 2002-01

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芸術も人生もすべて爆発
「芸術は爆発だ」という岡本太郎の言葉のもう少し詳しい解説になっています。彼は未来や過去を考えてそれを計算して生きることをよしとしません。そんな人生は全くつまらないものです。それが「常識人間」であり、それを捨てなければほんとうに生きたことにはならない、と言っています。そんな風に生きることは決して楽ではありません。しかし、ほんとうに生きたいと思ったら、瞬間瞬間に賭けて生きること、周囲の状況にあわせ、自分自身を甘やかす生き方をやめることが必要だと彼は言うのです。

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2012年1月 3日

一色一生

◇◆第726回◆◇

4763004441一色一生
志村 ふくみ
求龍堂 2005-01

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染と織にかけた生涯
人間国宝である染色作家の随筆集です。随筆という分野は、"エッセイスト"という肩書きの人が書いたものよりも、何か専門分野で秀でた仕事をなした人が書いたものの方がはるかにおもしろいものです。本書もそのとおりで、冒頭の「色と糸と織と」から、自然の植物を使って染めるということの奥深さに引き込まれます。桜を使って桜色に染めるには花が咲いた後ではなく、咲く前の木を使う、花を咲かせるために木が溜め込んだ何ものかをいただいて染めるといいます。自然の営みのもつ不思議さ、神秘さ、それを活かす人間の知恵、その一端に触れることができます。

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2011年7月20日

「芸術力」の磨きかた

◇◆第715回◆◇

4569628974「芸術力」の磨きかた
林 望
PHP研究所 2003-06-17

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芸術は生きていくために必要
作家であり、書誌学者でもある著者は絵、能楽、声楽など幅広く「芸術」といわれるものに親しんでいます。本書の中で著者が述べたいことの中心は以下の三点ではないか、と思います。
1)芸術は人間生活に不可欠のものである
2)芸術(アート)は技術(アート)の基礎が必要なので、訓練がいる
3)受身だけではなく自分で表現することが大事

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2010年10月20日

採用は2秒で決まる!

◇◆第697回◆◇

4062162504採用は2秒で決まる! 直感はどこまでアテになるか?
マルコム・グラッドウェル  勝間 和代(訳)
講談社 2010-09-10

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人の能力を見極めることは一筋縄ではいかない
人間の能力を見極めることの難しさについて、さまざまな実例をあげて述べています。世間で信じられていることが必ずしもあてにはならない、ということが本書でも全体の柱であり、だからこそ能力を見抜くのは難しいのだと言えます。ある場面でぴったりあてはまったことが別の場面ではまるで役にたたないということが珍しくありません。本書を読んで思うのは「この公式で世の中はうまくやれる」というような安易な成功ハウツーはやっぱり嘘だ、ということです。

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2010年9月25日

アダルト・ピアノ

◇◆第691回◆◇

4569637140アダルト・ピアノ―おじさん、ジャズにいどむ (PHP新書)
井上 章一
PHP研究所 2004-06

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なぜ今大人のピアノなのか
41歳にしてピアノを弾きたいと決心し、8年間猛練習を重ねた著者の体験記です。もてたいと思ったからピアノを始めたといい、それに関するエピソード、果たしてもてるか否かということが随所に出てきます。しかし、これは日本文化研究センターに勤務し、専門の風俗史関連書籍でサントリー学芸賞などを受賞している著者の一種の偽悪趣味でしょう。こういう風に書けばウケるだろう、という意図が見えます。弛まぬ訓練が必要なピアノの習得が「もてたい」だけでできるわけがありません。

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