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2017年11月29日

ダイエットの科学

◇◆第901回◆◇

4826901941ダイエットの科学―「これを食べれば健康になる」のウソを暴く
ティム・スペクター 熊谷 玲美
白揚社 2017-04-28

by G-Tools

マイクロバイオームからダイエットを考える
世の中には多くのダイエットに関する話が出回っています。中には科学的根拠に欠け、健康を脅かすものも少なくありません。「これを食べれば健康になる」のウソを暴く、という副題にあるように、多くのダイエットが主張している説にはかなり怪しいものがあり、健康を害する可能性が高いものもあります。本書ではさまざまな栄養素、健康によいとされる食品を数多く取り上げ、何をどのように摂取することが最も望ましいのかについて、科学的根拠をもとに述べています。

著者はロンドン大学キングス・カレッジの遺伝疫学教授、英国医科学アカデミーフェロー。双子研究の世界的権威であり、近年はマイクロバイオームの研究に力を入れています。マイクロバイオームとは人の身体の中に住む微生物のことで、腸内細菌はその代表です。私達は子宮の中では無菌状態ですが、誕生と同時に外界の微生物にさらされます。そして誕生直後から微生物は赤ん坊の体内に入り、その人独自のマイクロバイオームを形作っていくのです。

すべての人が異なるマイクロバイオームを持つ
それらの構成が同じものは一人としておらず、そのことは著者の双子研究からも明らかになっています。一卵性双生児は全く同じ遺伝子を持っています。それでも一卵性とは誰も思わないような双子もあり、それらの原因を探っていくと、どこかでマイクロバイオームがかなり異なる状態になる経験をしていることがわかります。

産道を通って産まれる場合は、母親由来の微生物が赤ん坊にまず入ります。しかし、帝王切開の場合は必ずしもそうではありません。アレルギー疾患など、帝王切開で生まれた子どもが問題を抱えやすいことのひとつの原因が、この産道を通らないことによる微生物暴露の不足かもしれないことが示唆されています。

マイクロバイオームが人の健康に大きな役割を果たすことがわかり、それらが個人によって違うということから、導き出されるのは、どのような腸内細菌を持っているかによって、その人の体格や病気のリスクもかなり異なるだろうということです。

腸内細菌を良好な状態に保つ
よく「いくら食べても太らない」「水を飲んでも太る」というような話をきくことがあります。それは単に基礎代謝の問題ではなく、どのような腸内細菌と共存しているかが鍵を握っている可能性が高いのです。

太らないタイプなのか、どのような病にかかりやすいタイプなのか、それらは遺伝子とマイクロバイオームの反応によって異なりますから、ひとくくりにはできない、というのが結論です。しかし、それでも万人に有効な議論の余地のない事実も同時にあります。
それは腸内細菌を良好に保つということです。そのためには、砂糖や加工食品の多い食事は避け、野菜が多く果物も適度にとる食事をするように心がけることです。「本当の食べ物を、植物を中心にほどよい量だけ食べる」のがシンプルな原則です。

健康になりたい人の食事法
最後の章で著者はもっと健康になりたい人の食事法として、次のようなことを勧めています。
1)摂取する食品の種類を増やす。特に、果物、オリーブオイル、ナッツ、野菜、豆類など。成分としては食物繊維、ポリフェノールを意識する。
2)加工食品には要注意。特に低脂肪とうたっているような食品には注意し、加工度、添加物の少ない食品を選ぶ。ヨーグルトやチーズも伝統製法で作られているものを食べる。
3)発酵食品を取り入れる。
4)肉は少なめにする。
5)祖先の食生活はかなり不規則だった。間欠的に断食を入れたり、何食か抜いたりする。
6)砂糖を減らす。ケーキやスナック菓子のようなものも控える。

腸とそこに棲む細菌の役割は近年しだいに明らかになり、身体全体の免疫や脳の働きにも大きな影響を与えていることがわかってきています。著者は腸を自分の庭と考えるように、と提案しています。それを慈しんで手入れしてやれば多様性のある心地よい庭ができあがるということです。


ダイエットの科学―「これを食べれば健康になる」のウソを暴く
ダイエットの科学―「これを食べれば健康になる」のウソを暴く
ティム・スペクター 熊谷 玲美

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