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2014年8月22日

脱出記

◇◆第872回◆◇

4863329245脱出記―シベリアからインドまで歩いた男たち (ヴィレッジブックス)
スラヴォミール ラウイッツ Slavomir Rawicz
ヴィレッジブックス 2007-11

by G-Tools

砂漠とヒマラヤを越えて
第二次世界大戦中、ポーランド陸軍騎兵隊中尉だった著者は、ソ連当局に覚えのないスパイ容疑で逮捕されます。拷問されても罪は認めませんでしたが、ソ連側の形式的裁判で25年の強制労働との判決を受け、シベリアへ送られます。家畜車両に詰め込まれて、モスクワからイルクーツクまで輸送。その後は他の囚人たちと鎖につながれ、強制収容所まで千キロ以上を歩かされました。収容所について最初の労働は自分たちが寝起きする収容棟を建てることでした。

こんなところで朽ち果てたくはない、著者はそう決意して、仲間をつのります。そして、彼の誘いに応じた6人とともに、1941年4月、収容所を脱出します。目指したのはインドでした。シベリアの原野を抜け、バイカル湖に沿って南へ歩きます。彼らは国籍も年齢も職歴もばらばらでした。脱出行のサバイバルの中で、彼らの個性がいきいきと描かれており、それがこのノンフィクションのひとつの魅力になっています。

わずかな装備を工夫して、魚を獲ったり、森で立ち往生している鹿を獲ったりもします。ソ連領内では逃げることを優先して人に会うことを避けていた彼らでしたが、国境を抜けてモンゴルに入った後は原住民たちに接触し、積極的に助けを請います。彼らはいずれも親切で、食べ物を与えてくれたり、泊めてくれたりします。

逃走中、一番困難だったのはゴビ砂漠を横断するところです。飢えと渇きに襲われ、仲間を失います。この厳しい脱出物語の中で清々しいのは、彼らがどれほど厳しい状況に追い込まれても仲たがいせず、助け合って進むことでした。仲間を失ったことに衝撃を受け、涙します。

ようやく砂漠を抜けてチベットに入ります。最後の難関はヒマラヤを越えることでした。装備らしい装備もない状態で、ヒマラヤを越えることは非常な困難でした。ここで、岩壁を上り下りするのに役立ったのは、ゴビ砂漠のオアシスで見つけてとっておいた頑丈な針金でした。究極のサバイバルの中では究極の創意工夫が求められます。ヒマラヤ越えの後、餓死寸前になった彼らはようやくイギリス軍の見回り兵に遭遇し、救われました。ほぼ一年にわたって南へ歩き続けた末の生還でした。

脱出記―シベリアからインドまで歩いた男たち (ヴィレッジブックス)
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コメント

たっくさん、
中古本で買えたとは、よかったですね。

良く売れたらしい、ま発送されていなかったのでキャンセルして中古品買った。
中古が15冊もあった。 1000円節約してしまった。

たっくさん、これおもしろかったですよ。
在庫切れとは、売れているからなのか、売れていないからなのか?

これも買ったけど、在庫が無く何時届くか分からない。

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