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2014年7月16日

史上最大の決断

◇◆第868回◆◇

447802345X史上最大の決断---「ノルマンディー上陸作戦」を成功に導いた賢慮のリーダーシップ
野中 郁次郎 荻野 進介
ダイヤモンド社 2014-05-30

by G-Tools

史上最大の作戦に見るリーダーシップ
戦争は、現代では忌むべきもの、避けるべきものと考えられています。多くの人命、財産が失われ、人間の愚かさの最たる結果が戦争というわけです。しかし、戦争にはもうひとつの側面があります。現代の戦略思想家エドワード・ルトワックは「戦争は巨大な悪かもしれないが、素晴らしい善を持っている」と述べました。私たちが享受している現代文明の成果のほとんどは、戦争によって発達したものです。戦争が人間の高徳と能力の基礎(善)、であるとしたら、そこから目を背けずに真摯に戦争と向き合う必要がある、と著者は書いています。

本書は「史上最大の作戦」において、連合軍の軍事・政治両面におけるリーダーシップがドイツ軍と比べていかに優れていたかを綿密に検証しています。連合軍最高司令官としてノルマンディー上陸作戦を成功に導いたアイゼンハワーのリーダーシップを中心に、英国首相チャーチル、合衆国大統領ルーズベルトをはじめ、連合国側と枢軸国側のリーダーたちがそれぞれの局面でどのように行動したのかを描いています。

ダンケルクからノルマンディーへ
第二次世界大戦の緒戦、電撃戦によって、5日で勝敗が決し、英仏軍はダンケルクからイギリス本土に向けて撤退します。当時はまだアメリカは参戦しておらず、この絶体絶命の危機をチャーチルがどのようにしのいだかが序盤で語られています。もし、ヒトラーが間髪おかずに撤退する英仏軍を追ってイギリス本土に攻め込んでいたら、歴史は変わっていたかもしれません。

歴史はすでに過ぎ去ったことを省みるものですが、その途中で「もし違う決断をしていたら…」というシミュレーションをしてみると、その後の歴史が全く異なる可能性があります。チャーチルがなんとかイギリスを持ちこたえさせ、アメリカを参戦させて、「連合国」というものを作り上げたことによって、戦争の勝敗の行方が大きく変わっていきます。

アイゼンハワーの実践知に基づくリーダーシップ
第3章以降はアイゼンハワーが本書の中心人物として語られていきます。アイゼンハワーのリーダーシップについて、著者は実践知(フロネシス)という言葉で最終章にまとめています。フロネシスとは、実践と知性を総合するバランス感覚兼ね備えた賢人の智恵です。それらを次のようにまとめています。

1)善い目的をつくる能力
2)ありのままの現実を直観する能力
3)場をタイムリーにつくる能力
4)直観の本質を物語る能力
5)物語りを実現する能力(政治力)
6)実践知を組織する能力


史上最大の決断---「ノルマンディー上陸作戦」を成功に導いた賢慮のリーダーシップ
史上最大の決断---「ノルマンディー上陸作戦」を成功に導いた賢慮のリーダーシップ
野中 郁次郎 荻野 進介

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