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2014年4月 8日

浅田真央、18歳

◇◆第851回◆◇

4163720308浅田真央、18歳
宇都宮 直子
文藝春秋 2009-12-09

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08-09シーズンの浅田真央
浅田真央の「天才少女」としての快進撃は17歳で制した世界選手権で、第一章が終わったという印象を受けます。このシーズン、出場した競技会六つのうち三つで優勝します。しかし、シーズン終盤、連覇のかかった世界選手権では、四位に終わり、22戦目にして初の表彰台落ちを経験します。シニアにあがって四シーズン目まで表彰台に立ち続けたということ自体、信じがたい快挙であり、その早熟の天才ぶりにあらためて驚きます。

このシーズンも序盤のフランスでは精彩を欠くものの準優勝、続くNHK杯では、圧勝します。さらに韓国で開かれたグランプリ・ファイナルは完全アウェーだったにもかかわらず、逆転で三年ぶりに優勝を飾ります。国際試合の女子で、史上初めてひとつのプログラムの中でトリプルアクセルを二度成功させたのです。浅田真央のプログラムはきわめて難度の高いものであり、特にフリーは男子ですら難しいものです。彼女はそれに挑み、限界を広げていこうとしています。

現行ルールでは、「難度」を落とした方が勝ちにつながることがあります。しかし、それを果たして競技と呼べるだろうか、と著者はいい、「踊れるだけならダンサー、私たちはフィギュアスケートで競っているスケーター」という山田満知子コーチの言葉に触れ、「この意味において、私は浅田真央を誇りに思う。彼女は常に闘っている。フィギュアスケーターとして自らを厳しく律し、堂々と。」と書いています。

ただ、この後、年が明けて開かれた四大陸選手権ではSPで六位と大きく出遅れて三位、続く世界選手権では表彰台を逃します。彼女はモチベーションの維持に苦しむようになっていたのです。天真爛漫、天衣無縫と評される浅田真央であっても、やはり人間であり、常に走り続けてはいられません。だから、世界選手権での敗北はむしろよかったのだ、と著者は書いています。

タチアナ・タラソワとのやりとりもいくつか書かれていて興味深く読めました。タラソワは浅田真央を「スケートの申し子」「天才であり、できないことは何も無い」と考えています。そして、浅田はタラソワにとって自己の理想形なのです。厳しく難しい要求であっても、浅田はタラソワの要求を楽しみ、「毎年、同じことをやるのは、自分もつまらないしね」と、さらりと言います。

常に攻める姿勢を失わない、というのが浅田真央のスケートの最大の魅力でしょう。穏やかでほのぼのとした外見の下に、激しい闘志を秘めています。ソチのフリーで世界中が驚いたのはそのガッツでした。彼女がずっと、攻める姿勢、挑戦する気持ちを持って、それを競技へのモチベーションとしてきたからこそ、あの場であのようなことができたのです。

浅田真央、18歳
浅田真央、18歳
宇都宮 直子

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