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2014年3月17日

浅田真央、15歳

◇◆第844回◆◇

4163682309浅田真央、15歳
宇都宮 直子
文藝春秋 2006-04-04

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デビューシーズンの浅田真央
ソチ五輪が終わった後、帰国した浅田真央の外国特派員記者を前にした会見を動画で見ました。その受け答えに、この人はとても聡明な人であるに違いないと思いました。穏やかで落ち着いて思慮深く機転もきく。「伝説の4分間」のフリーの映像も確かに非常に印象深く、凄いなあと思って見ましたが、浅田真央という人に興味を持ったのは、むしろあの記者会見のたたずまいの方でした。

著者は彼女が全国的な注目を集める以前から浅田家と交流があり、そうした親密な間柄ならではの視点で15歳当時の彼女の様子を伝えています。倒置法を多用して短いセンテンスを重ねる文体は独特のリズムがあります。浅田真央を現在のようなトップスケーターに育てた一番の功労者は、お母さんです。幼少時からの訓練が不可欠なこういう分野では、子どもにいかに才能があろうとも、親にそれを育てる覚悟と熱意がなければうまくいきません。

2011年末にお母さんは病気で亡くなってしまいます。グランプリファイナル出場のためカナダにいた彼女は急遽帰国しますが、間にあいませんでした。本書の中にはお母さんに甘える彼女の様子が優しい言葉で綴られています。トリノ五輪に年齢制限のために出場できない話が書かれており、バンクーバーもソチもまだ遠い話です。天才であっても、苦悩も悲嘆も襲ってきます。また、天才を生かすための血のにじむような努力と、天才ゆえの孤独も同時に味わわなければなりません。

ただ、血のにじむような努力、と思うのは傍目に見るからであって、彼女にとってはその努力こそが日々生きているということであり、喜びでもあるのです。子どものころから嫌いなことは徹底してしない子だったといい、「好きなことを好きなだけやって、好きなものに囲まれて大きくなった。あの子は、本当に幸せだと思う」というお母さんの言葉があります。スケートに集中さえしていれば、彼女はなんだって忘れることができた---天才とはまさにそういうことでしょう。

浅田真央はスポーツ選手であるのに、「女性タレント好感度ランキング」の上位に常にランクされており、多くのCMに登場しています。それが何ゆえなのか、があの記者会見の受け答えで、納得できました。本書の中にも「真央は純粋で、愛らしくて、まるで赤ちゃんのようだ」という言葉が出てきます。15歳当時のその純粋性を23歳になった今も、聡明さを併せ持ちながら保ち続けている、そのように思います。本書に挿入されている15歳当時の彼女の写真はとてもいいです。

意外なことに、15歳当時の彼女はインタビューが苦手でした。スケートを進化させると同時に記者会見での受け答えのすべも大きく進化させていったのでしょう。だから、聡明なのです。


浅田真央、15歳
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