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2013年11月29日

銀のうでのオットー

◇◆第834回◆◇

4887501420銀のうでのオットー (子どもの文学―青い海シリーズ)
ハワード パイル Howard Pyle
童話館出版 2013-08

by G-Tools

静かな愛と勇気の物語
この物語は13世紀の神聖ローマ帝国(現在のドイツ)を舞台にしています。この時代のドイツは大空位時代と呼ばれ、およそ300の諸侯が領地争いをする混乱の中にありました。主人公のオットーはこんな時代の中で、諸侯のあとつぎのひとりとして生を受けます。中世の騎士が登場する話ときけば、華々しい戦いが繰り広げられる物語かと思いますが、内容はかなり異なっています。

オットーの父は竜の館の主であり、近隣の竜殺しの館の一族とは何度も流血の戦いをしています。そのため双方に悲劇が起こり、それが復讐につながり、さらにまた復讐を呼ぶという血で血を洗う戦いが繰り返されています。その中にオットー少年も巻き込まれていくのですが、彼は決して人を憎まず、崇高とさえ思われる心を持ち続けます。

憎しみに対して憎しみを返し、剣に剣を、暴力に暴力をもってしていては、それはどこまでいっても終わりの無い泥沼の地獄にはまりこむことに他なりません。そのために剣をとったり、雄叫びをあげることは実際には勇気でもなんでもないのです。

著者のハワード=パイルは1853年アメリカのデラウェア州でクエーカー教徒の両親のもとに生れました。幼いときから文学と絵画の世界に親しみ、アメリカの児童文学の黄金時代を築いた作家のひとりとなりました。本書は挿絵もパイル自身のものです。訳者はあとがきの中で「この物語の時代は中世ですが、ここに書かれていることは、今の世界が、改めて考えなおさなければならないことが多いと思います」と書いています。


銀のうでのオットー (子どもの文学―青い海シリーズ)
銀のうでのオットー (子どもの文学―青い海シリーズ)
ハワード パイル Howard Pyle

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