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2013年11月15日

ソロモンの指環

◇◆第831回◆◇

4150502226ソロモンの指環―動物行動学入門 (ハヤカワ文庫NF)
コンラート ローレンツ Konrad Lorenz
早川書房 1998-03

by G-Tools

最初にして最高の動物行動学入門書
動物行動学入門という副題ですが、動物に特に興味がない人が読んでも楽しめます。著者は動物行動学という分野を切り開いた先駆者です。コクマルガラスやハイイロガン、マガモといった野鳥の行動を研究するために彼が苦心惨憺するところが非常に面白く、思わず笑い出さずにはいられないのです。動物の行動に理屈は通用しませんから、観察者、飼育者である人間が相手にあわせて行動するしかありません。それが時に非常に滑稽な話にもなるのです。

著者は動物が好きです。だからこそ、最初の章に動物を飼うにあたって人間が我慢しなければならないこと、というのをいくつもあげています。それはちょうど人間の赤ん坊を育てるのと一脈通じるものがあります。理屈は通じず、仰天するような悪戯に振り回される。それでもそれを乗り越えて動物と「心」が通ったとき、えもいわれぬ素晴らしい体験ができます。飼うといってもペットのように飼うというばかりではありません。

著者は野生のコクマルガラスやハイイロガンとも絆を結んでおり、それがどういう風になされたかも記されています。「ソロモンの指環」とは、ソロモン王がその指環によって動物の言葉を理解できた、という伝説から取られています。著者は動物の習性を観察し、それにあわせて行動し、鳴き声を真似ることによってこれらの動物たちと心を通わせます。

本書を読むと社会性を持って集団で行動する野鳥というのは一般人が想像するよりずっと知能も個性もあり、興味深い存在なのだと知らされます。野鳥の雛が孵化したとき、最初に目にした動くものを親と認識するという「刷り込み」の概念は、著者がハイイロガンの雛で観察したことを本書に書いたことによって有名になりました。


ソロモンの指環―動物行動学入門 (ハヤカワ文庫NF)
ソロモンの指環―動物行動学入門 (ハヤカワ文庫NF)
コンラート ローレンツ Konrad Lorenz

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