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2013年10月 5日

地球の内部で何が起こっているのか?

◇◆第821回◆◇

4334033148地球の内部で何が起こっているのか? (光文社新書)
平 朝彦 徐 垣 末廣 潔 木下 肇
光文社 2005-07-15

by G-Tools

地球深部探査船「ちきゅう」
地球深部探査船「ちきゅう」、海底下7000mまでの深部掘削が可能でマントルまで到達できる世界最新鋭の船です。本書は地球深部を探索することの必要性とそのために開発されたこの船、さらにはそれによってこれから行われる科学プロジェクトについて、研究者自身が書いたものです。現在わかっている地球システムの全体像について述べられているとともに、これから解明すべきことがらについても書かれており、地球科学入門書にもなっています。

日本がこの分野に関して特に力を入れ、世界をリードする研究の中心になろうとしているのは、日本が海に囲まれた海洋国家であるということだけでなく、日本列島が巨大地震の巣の上に位置しており、そのメカニズムの解明には、国をあげて取り組むだけの意義があるからです。

地球科学の歩み
前半の第四章までは、これまでの地球科学の歩みとそこからわかっている地球の歴史の姿について書かれています。大陸がマントル対流の上のプレートに乗って移動すること、プレートの沈み込みのよって巨大地震が起こること、そういうった地球のいとなみが明らかになってきたのは、20世紀も後半になってからのことです。

さらに海洋底に残されている堆積物を分析することによって、地球環境の変化を恐竜の時代以前までさかのぼって研究することが可能になりました。恐竜が絶滅したのは、巨大隕石の地球衝突によることは、現在では定説になっています。その痕跡が海洋底の堆積物に残されていたからです。

生物圏で有史以前に何が起こったのかを推測するのが海底堆積物を分析する科学だとしたら、現在進行形で地球深部で何が起こっているのかを観測しようとするのが、地球深部掘削です。これによって、まだほとんど未知の領域である地球のシステムを解明していこうというのです。たとえば、地球は過去何度も氷河期を繰りかえしました。今、地球温暖化が問題になっていますが、温暖化にしろ寒冷化にしろ、それを引き起こすメカニズムについてはほとんど推測の域を出ていません。

「ちきゅう」が開く研究の未来
後半の第5章以降は、「ちきゅう」が切り開くこれからの研究について、述べられています。それらはいくつもの分野にまたがった地球全体の科学です。「ちきゅう」の建造と運用については、巨額の税金が投入されており、それゆえに、それがどのような成果をもたらすものなのか、専門分野以外の人にもわかりやすく理解できる広報活動は不可欠です。本書もその一環でしょう。

「ちきゅう」によってこれから開かれていく科学研究として第7章には次の7つの項目があげられています。
1)巨大地震発生メカニズムの解明
2)メタンハイドレート発生メカニズムの解明
3)地下微生物圏の実態とその利用
4)海洋地殻とマントルの掘削
5)気候予測モデルの精緻化とその検証
6)地球システム変動に関する基本理解
7)地下利用に関するさまざまな方法の確立

この計画が日本社会の活性化に役立つだけでなく、人類の未来開拓に貢献し、世界の尊敬を得られるものであることを確信している、と結ばれています。


地球の内部で何が起こっているのか? (光文社新書)
地球の内部で何が起こっているのか? (光文社新書)
平 朝彦 徐 垣 末廣 潔 木下 肇

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