« 機械との競争 | トップページ | 先生、大型野獣がキャンパスに侵入しました! »

2013年7月15日

君は、世界がうらやむ武器を持っている

◇◆第809回◆◇

4479793828君は、世界がうらやむ武器を持っている
田村 耕太郎
大和書房 2013-03-23

by G-Tools

日本にいてグローバル化に対応するには?
グローバル化の時代に、日本という国の可能性について語った本です。日本の強みについて、実は一番知らないのが日本人かもしれません。製造業などのモノにおける強みは20世紀末から知られていましたが、それ以外の部分、目につきにくい文化や社会構造の強みの部分にも焦点をあて、だからドメスティックに日本にいて日本のよさをもっと掘り下げていくことが、結果的には世界の最先端に通じる道でもあることをさまざまな事例をあげて示しています。

日本経済は強靭
没落論がささやかれる日本経済ですが、巨大で強く頑丈だ、と著者は太鼓判を押します。その強みはバランスのよさです。グローバル企業から中小企業まで、ローテクもハイテクも、製造業からサービス業までしっかり揃っています。私たちはそれをあたりまえだと思いますが、これほどバランスよくすべてが一国の中に揃っているところは他にありません。

また、日本は貿易立国ではなく、内需大国です。日本の輸出の対GDP比は10%そこそこです。これが韓国やドイツでは40%前後、中国でさえ25%を超えます。日本はG7中ではアメリカに次ぐ巨大な内需大国なのです。富も豊富であり個人金融資産は1500兆円でこちらもアメリカに次いで第二位、さらに同額近い不動産資産もあわせると、3000兆円近い資産があります。GDP500兆円の9割、フローとして450兆円の内需があり、ストックとして3000兆円の資産を持つ、これほど巨大な内需型経済、資産国家は世界でも稀です。

日本は問題解決においてずっと最先端にいる
日本人は日本人ゆえに日本の強みに疎いところがあります。さらに国民性もあって、「日本のこんなところがダメ」といった論調のものを好みます。しかし、本書では、日本が環境問題に関してもすでに江戸時代から先進的な取り組みをしてきたこと、高度経済成長の中でおこった公害問題を見事に克服したことなどをあげ、日本は常に未来を先取りして問題解決してきた実例を示しています。

現在、直面している少子高齢化問題にしても、これはいずれ世界が直面する問題です。日本がどのような対策をとるのか、を世界が注目しています。また、高齢化については危機と見るよりはチャンスと見るべきであると述べています。人生100年時代、医療費を医療消費ととらえれば、そこに巨大な市場が生まれます。日本で生まれ育った高齢者のニーズにこたえられるサービスを提供できるのは、日本人をおいて他にないからです。

日本人が持つ有利な特性
これからの時代に有利な日本人の持つ美徳を、著者は三つあげ、それは、「規律ある行動がとれる」「相手の立場にたって考えられる」「感性豊かでセンスがいい」ことだと書いています。日本人があたりまえと思っている規律ある行動は、稀有な行動原則なのです。東日本大震災直後の日本人の行動が世界中で称賛を浴びたのはひとつの典型です。

これらの特性は日本の長い歴史の中で培われたもので、一朝一夕に身につくものではありません。グローバル化だから世界へ出なければという声が大きいのですが、本書の中でインタビューに答えているフロントランナーのひとりは、グローバル化とは自分が海外に出て行って踊らなければならないということではない、と言っています。グローバル化とはお互いに地域を越えて染み出していくようなものなのです。


君は、世界がうらやむ武器を持っている
君は、世界がうらやむ武器を持っている
田村 耕太郎

関連商品
君に、世界との戦い方を教えよう 「グローバルの覇者をめざす教育」の最前線から (現代ビジネスブック)
世界のエリートはなぜ歩きながら本を読むのか?
田村耕太郎の世界で戦う君のための世界経済入門 (別冊宝島)
田村耕太郎の世界を観る目 日本を見る目
君は、世界を迎え撃つ準備ができているか?
by G-Tools

« 機械との競争 | トップページ | 先生、大型野獣がキャンパスに侵入しました! »

ビジネス」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 機械との競争 | トップページ | 先生、大型野獣がキャンパスに侵入しました! »