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2013年3月24日

不識塾が選んだ「資本主義以後」を生きるための教養書

◇◆第795回◆◇

4797672374不識塾が選んだ「資本主義以後」を生きるための教養書
中谷 巌
集英社インターナショナル 2013-02-05

by G-Tools

今こそリベラル・アーツ
不識塾とは、編者が中心になって立ち上げた日本のビジネスエリートのための小さな私塾です。本物のリーダーを養成することを目標に、リベラル・アーツを学ぶ場として作られ、日本を代表する企業のリーダー候補生たちが送りこまれてきているといいます。一年間の費用が500万円。企業にとってそれだけの費用を払っても惜しくないと思わせるものがこの塾にあり、塾の卒業生たちの経験談が豊富に載っています。

リベラル・アーツとは、歴史、哲学、文化、宗教、古典文学などの基礎教養の諸学科を指します。塾生は40代の超多忙な経営幹部たちです。目先のビジネスとは一見関係がなさそうなリベラル・アーツの教育、しかし、それが大いに受け入れられ、塾生たちの目を開く役割を果たしています。編者はリベラル・アーツ教育によってまず塾生が日本人としての自覚や心の軸を持てるようにし、その後に世界の文明史、宗教、資本主義の構造などを学んで、大局的な歴史観や世界観を育めるようにしたと書いています。

あらゆることのベースがリベラル・アーツにある
なぜリベラル・アーツが必要なのかといえば、あらゆることのベースが思想や哲学、歴史、宗教にあるからです。現代世界は、西洋近代が圧倒的な力を持ち世界を席巻した時代から生まれた仕組みで運営されています。本書には資本主義も民主主義もキリスト教から生まれた双子、との記述があります。アメリカでMBAをとって日本に帰ってきた人が、日本の経営戦略にその方式をそのまま当てはめようとしてもうまくいかないことがよくあります。その理由のひとつは、アメリカと日本とは文化も歴史も宗教的背景も全く違うからです。

己を知り相手を知る
他国を理解するには、まず自分自身の国、日本の歴史、思想、文化について学び、同時に他国(欧米でも中国でもイスラム圏でも)の歴史、思想、文化を知る必要があります。その上で、お互いを相対化して考えるのです。今、経済世界でのグローバルスタンダードはアメリカさらにはヨーロッパ、その背景にあるキリスト教の思想がベースになっています。そうした歴史を持たない日本が欧米のスキルをそのまま持ち込もうとしても無理が出ます。

本書ではリベラル・アーツの必要性について塾長である編者の立場から書かれていると同時に、それを受けた塾生たちがどのように変わったかが書かれ、さらに塾生自身も十人以上登場して、何がよかったかについて語っています。さらに、不識塾の課題図書55冊+αが紹介されています。これらの本を読んで自分で考えてみるだけでも、リベラルアーツ入門ができるのではないでしょうか。


不識塾が選んだ「資本主義以後」を生きるための教養書
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中谷 巌

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