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2013年3月 4日

美術品を10倍長持ちさせる本

◇◆第791回◆◇

4822228029美術品を10倍長持ちさせる本
日経アート
日経BP社 1996-03

by G-Tools

美術品の保管・展示の知識
美術品のコレクター向けにより望ましい展示・保管の方法について解説した本です。油彩画、日本画、陶磁器、漆器などについてそれぞれのに望ましい保管方法、取り扱い方などについて説明してあります。美術館のような方法は無理としても、湿度と温度に気を配ること、地震対策など値のはる美術品をコレクションしている人なら必須の内容です。絵を描いている人にとっても、自分の絵をどのように保存すればいいのかについての知識が得られます。

急激な温度・湿度の変化を避ける
絵画としては油絵と日本画が大きく取り上げられ、わずかにアクリル絵画が出てきます。油絵は一般に堅牢なものと思われがちですが、実は水分に弱く画面が脆弱なことは日本画とそれほど変わらないようです。温度と湿度の急激な変化が一番よくないのは、すべての美術品にとっていえることです。その理由は基底材とその上にのっている下塗り、絵具などがそれぞればらばらに伸縮することによります。それによって、画面にひび割れができ、絵画を破壊していくのです。

しまいこんでいることはよくない
皮肉なことに人間の存在、人間の生活そのものが大量の水分を発するものであり、そこに同居させられる美術品は、そこで引き起こされる温度・湿度の急激な変化で常にダメージをこうむっているといえるのです。かといって、厳重にしまいこんでおくと害虫の被害を受けたり、カビが生えてしまいます。永遠の矛盾の中にあるのが美術品の維持・保管と鑑賞です。

アクリル絵具の罠
アクリル絵具は「魔法の絵具」といわれ、20世紀半ばに登場して、今では最もポピュラーな画材になっています。水溶性絵具で、日本画や油彩画の絵具と比べればはるかに取り扱いが容易です。しかし、その取り扱いの容易さゆえに「何でもできる」と作家側が思いこんで、不用意に描くために作品が破損する例が後をたたないといいます。破損後の修復が難しいのはアクリルの持つ柔軟性が仇となるもので、特にエアブラシ作品の修復はほとんどお手上げ状態だとか。

本書の後半には美術品を保管・展示する美術館やそれを運ぶ運送会社の専門家の苦労なども書かれており、今まで当たり前のように見てきた異国からやってくる美術品を見る目が変わりました。それらがどれほどデリケートなもので、厳重な管理の下、多くの人の手を通って日本にまでやってくるのか、について一端に触れられます。


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