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2013年2月 2日

横尾忠則 ラッピング電車 故郷を走る

◇◆第787回◆◇

4473038416横尾忠則 ラッピング電車 故郷を走る
横尾忠則 酒井忠康 織作峰子
淡交社 2012-11-26

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ラッピング電車故郷を走る
兵庫県西脇市出身の美術家・横尾忠則、その作品が彼の故郷である西脇市を通るJR西日本・加古川線の車両にラッピング電車として採用された時の模様を、写真家・織作峰子の写真を中心に、当時の新聞記事なども織り込んでまとめたものです。加古川線の電化を記念して四本のラッピング電車が2004年から2012年にかけて運行されました。定期的な車両検査のために現在はすべての車両が運行を終えています。

私は加古川線の沿線住民ではありませんし、乗ったこともありませんが、この車両が走っているのを見たことはあります。踏切で止まっていたら、えらくにぎやかな車体の電車がやってきてびっくりしました。加古川線はのどかな田園地帯を走るローカル線です。わずか二両の電車が色彩の塊といっていいようなカラフルさで、加古川線もがんばっているんだなあという印象を受けました。

ラッピング電車の効果
本書では四種類の車両が駅のホーム、鉄橋、田園地帯、桜の下などを走っているところがとらえられ、季節と場所のバラエティに富んだ楽しい写真集になっています。鉄道ファンにも注目され、各地からその車両を見ようと訪れた人は多かったようです。

沿線住民の感想の一言が各ページに記されているのも楽しく読めます。単に電車に絵を描いたものといえますが、それが公共交通となると、こんなに大勢の人に注目され、影響を与えるものなのだと納得しました。すべての電車がラッピングされているわけではないので、その車両に会うとその日はついていると思ったりラッキーだと感じたという感想を持つ人が多かったのが印象に残りました。

私は同じJR西日本のローカル線である播但線の沿線に住んでいます。ここでも「銀の馬車道」のデザインをラッピングした電車が走っています。日本最初の高速産業道路として、地元では近年PRに力を入れているのです。本書でもバスや電車といった公共交通のラッピングには広告が使用されることが多いと書いてあります。街を走るバスはほとんどが何らかの広告をラッピングして走っています。

アートをローカル公共交通のラッピングに
広告料が入りますから、クライアントが多い都会の公共交通はこうしたラッピングがいいでしょう。しかし、そういうものがほとんど望めないローカル線は逆にそれを活かして今回のようにアートをラッピングしてしまうのが、意外に有効のではないかと思いました。特に地元出身の芸術家の作品を取り上げたら、地元の人にとっては作家を見直すきっかけになるし、その作品に親しむ機会になるでしょう。

アートが美術館の中に納まっているのではなく、生活の場に出てくることになります。公共交通なら、動き回りますから目にすることも多いですし、動いて去っていきますから、看板や壁面のように同じところで無理やり見せられるということもありません。地域振興、話題性、イベント的な面白さもあります。いろいろ派生効果が見込まれると思うのですが…。


横尾忠則全ポスター
横尾忠則全ポスター
横尾 忠則

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