« すばらしい人間部品産業 | トップページ | 文房具の足し算 »

2012年3月23日

油彩画プロの裏ワザ

◇◆第738回◆◇

4062683997油彩画プロの裏ワザ (The New Fifties)
中西 繁
講談社 2006-09-26

by G-Tools

制作手順を丁寧に解説
全体が99ページあり、そのうち前半の30ページを使って著者の風景画の制作プロセスを丁寧に解説してあります。油絵で風景画を描きたいがどうしたらいいのか具体的な方法を知りたいという人には、参考になるでしょう。細かなところまで写真で解説してあり、どのように絵を作っていくのかがわかります。このように描くなら随分時間がかかるだろうとは思います。

著者は麻の中目のキャンバスを使っており、描く前にそこにアクリルジェッソで三回下塗りします。市販のキャンバスはすでに地塗りがしてありますが、著者はマチエールを作るためにあらためて地塗りをすると書いています。絵具を塗り重ねて盛り上がったようなマチエールで描くのが著者の方法です。油絵の描き方にもいろいろあり、そういう方法は好まないという人には本書は向かないでしょう。

オリジナリティを大事にする
ガラスの透明感を描く方法として、絵具をたっぷりのオイルで溶いて使う方法が記されています。こういう描き方をすると透明水彩で描くような感じになります。「私の作風ではないからやらない」とガラス以外では著者は使わないようですが、これで全体の絵を描いてもそれがその人の作風ならそれでいいわけです。

夜景、雨、朝の光、といった特殊な条件での描き方や、建物、水面、車といった風景画に欠かせない素材の描き方も丁寧に解説されています。著者は現在パリにアトリエを構えパリを中心としたヨーロッパの町並みを描くのが画業の中心のようです。夜景や雨天を好んで描くのは、「他の人が描かないから」だといいます。画家はオリジナリティが大事で、誰も描かない絵を描けば、それだけで独自の地歩を占める、と述べています。

アクリル・オン・フィルム画?
油絵だけでなく、後半には応用テクニックとして「アクリル・オン・フィルム画」というものが紹介されています。マット(つや消し)処理したポリエステルフィルムにアクリルで描くものです。本文を読むと、ガラス絵の変形かと思います。製作工程がこれもくわしく説明されています。残念なのは、その「マット処理したポリエステルフィルム」というものが、どこのどのような製品でどうしたら手に入るのかということが全く説明されていないことでした。ウェブで検索してもよくわかりませんでした。


油彩画プロの裏ワザ (The New Fifties)
油彩画プロの裏ワザ (The New Fifties)
中西 繁

関連商品
油彩画超入門 光と影を描く (The New Fifties)
泥棒美術学校
巨匠に学ぶ配色の基本―名画はなぜ名画なのか?
巨匠に学ぶ構図の基本―名画はなぜ名画なのか?
樹木を描く (CULTURE SERIES)
by G-Tools

« すばらしい人間部品産業 | トップページ | 文房具の足し算 »

絵・デザイン」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« すばらしい人間部品産業 | トップページ | 文房具の足し算 »