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2012年1月18日

日本のふるさと奈良

◇◆第727回◆◇

4819111140日本のふるさと奈良
安野 光雅
産経新聞出版 2010-09

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安野光雅が描く奈良の風景画と仏画
産経新聞に連載されたものを書籍化しています。彼は文章も素晴らしいですから、巻末の「あとがき」「作品解説」もおもしろく読めます。自身は無宗教だから、仏像を彫刻作品としてみると書いています。興福寺の阿修羅像、法隆寺の百済観音、東大寺戒壇院の四天王像などについて、その素晴らしさに打たれたことを述べています。これらを私も拝観したことがあります。いずれも理屈抜きに素晴らしい、群を抜いて素晴らしい仏像です。何がどう素晴らしいのか、言葉ではうまく言えず、筆舌に尽くしがたいとはあのことかと思います。そういう感覚が本書の中でも述べられていました。

著者の絵について、私は以前からうまいんだか下手なんだかよくわからない絵だと思っていました。プロの画家ですし、売れているからこんなにたくさん本がでるのだろうけど、誰でも描けそうな絵じゃないか、と思っていたのです。具象画ですから、突飛な発想があるわけではなく、見えるものをぼわんとした雰囲気で描いた水彩画、そういう印象でした。しかし、今回この絵を見ていて、こういう絵は簡単そうに見えてそうそう描けるものではない、と感じました。力の抜け具合が尋常ではないのです。

うまい絵、特に細部まで描きこめる画材で緻密に描きこんでいった風景画をこれまでたくさん見て来ました。驚異的な描写力、デッサン力、遠近法などを駆使して大画面に迫力ある描写を展開する絵がたくさんあります。ただ、そういう絵は疲れるなあとも思います。描く人は大変でしょうし、力量も凄いものがあるとも思いますが、見る方もぐっと肩に力をいれて見なければならない感じがあります。そして、どこか息が詰まるような感じになることも珍しくありません。

本書の中に描かれている奈良や飛鳥の風物は、そういう緻密なこってりとした描写で描かれるとよさが失われる気がします。この年末年始に奈良へ行きました。そして、奈良の風景が日本人になつかしい感覚を思い起こさせるのは、激しいもの、とがったものがない穏やかでなだらかな曲線でできた風景だからではないか、と感じました。そういう風景を描くには、安野光雅の画風は最適です。

日本のふるさと奈良
日本のふるさと奈良
安野 光雅

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