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2011年9月 8日

安野光雅の世界―1974→2001

◇◆第721回◆◇

4582943594安野光雅の世界―1974→2001 (別冊太陽)
安野 光雅
平凡社 2001-03

by G-Tools

さらりと描かれたスケッチの見事さ
画家であり、絵本作家でもある安野光雅の著作70点を選び、挿画と彼自身の「あとがき」を収録しています。画家ですから、絵が見事なのはもちろんですが、文章の見事さにも脱帽します。いずれもそこはかとないユーモアが漂っており、氏のお人柄がしのばれます。科学や数学に造詣が深く、それを生かしただまし絵もたくさん載っています。

私が特に好きなのはスケッチ集です。津和野、ロマンチック街道、安曇野、イギリスの村、アメリカの風、スペインの土、中国の運河、中国の市場、オランダの花、スイスの谷、ドイツの森、さらに司馬遼太郎の『街道をゆく』をもとにしたスケッチ集など世界各地に出かけて描いています。これらの絵は鉛筆と透明水彩でさらりと描かれています。

さらりと描くのは、簡単そうで実は非常に難しいものです。最小限の線と色彩で風景のエッセンスをつまみ出し、絵にまとめあげる腕が必要です。描きすぎないということが大切ですが、丁度いい段階で筆を止めるには、それを見極める目を持っていなければいけません。さらりと描かれていながらすべての絵にめりはりがあり、何が絵の中心なのかがよくわかります。

『ヨーロッパの街から村へ』のあとがきでスケッチに出かけることをお見合いに例えています。遠くまで写生に出かけて、「あ、この人だ」と思ったら、ためらわず、その人に決めるのが秘訣だとか。あれこれ迷っているとわけがわからなくなる。浮気心を起こして他へ行き、戻ってみると風景はもとのままではない。風景でも静物でもひとときもじっとしておらず、諸行無常なのです。


安野光雅の世界―1974→2001 (別冊太陽)
安野光雅の世界―1974→2001 (別冊太陽)
安野 光雅

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