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2011年2月24日

透明水彩でスケッチ散歩

◇◆第707回◆◇

4262145123透明水彩でスケッチ散歩―今日も一枚描いてみよう
青木 美和
池田書店 2004-05

by G-Tools

さらりと描いているようで実は確かなテクニックがいる
図書館に行くと、スケッチ関連の技法書がたくさん並んでいます。一から始めるなら、それらをひと通り見て、自分が好きだと思う画家の描き方を真似てみるのがいいように思います。著者の絵は透明水彩のにじみやぼかしの効果を最大限に生かし、最小限の筆さばきで光を描いている、という印象を受けます。さらりと描かれているようでありながら、かなりしっかりとしたものを見る目がないとここまで描くのは容易ではないでしょう。

「今日も一枚描いてみよう」と副題にあるように、日記を描くように日々の断片をスケッチブックに掴まえていく、と著者はまえがきに書いています。それは確かに大事なことです。絵はある程度までは数を描いていかないと技術が身につきません。ただし最初のページに、使っている水彩用紙としてセヌリエとアルシュをあげています。スケッチブックでもいいけれどと書いていますが、ここに描かれた絵はそれらの水彩紙を使わないと描けませんよということです。

高価な水彩紙でないと描けない絵?
この本はどのレベルの読者を対象に描かれているのでしょうか。広告の裏紙と鉛筆があれば、スケッチはできます、とも書いてありますが、透明水彩を扱うのが全く初めての人にアルシュはどうなんだろう、と思います。フランス製の最高級水彩紙であり、マルマンの20枚綴りF4スケッチブックが500円としたら、同じ大きさのアルシュ紙一枚が同じくらいの値段で売られています。

透明水彩を描く場合にもっとも大事なのは用紙のようです。透明水彩独得の発色やにじみ、ぼかし、さまざまな技法の効果などが全く違うそうです。スケッチには透明水彩、と初心者にスケッチを勧めるほとんどの本に書いてありますが、本当にそうなのか、と疑問に思います。お手本になっている絵が、その辺で売られている画用紙の20倍の値段の紙を使わないと描けないものだとしたら、そう簡単に真似ができるものではありません。

透明水彩よりも簡便な画材はある
私は透明水彩は性質にあわないと感じたので、今ではオイルパステルとアクリル絵具を使って絵を描いています(優嵐ギャラリー)。特にオイルパステルはいつでもどこでも取り出して始められ、中断も再開も容易だという利点があります。それなのに、パステルの技法書はいくつもありますが、オイルパステルに焦点を絞った技法書は皆無といっていい状態です。世界で最初にオイルパステルを開発したのは、日本のサクラクレパスだというのになぜでしょうか。

オイルパステルは紙を選びません。新聞紙でもアルシュでもそう変わり無い絵が描けると思います。透明水彩一辺倒ではなく、絵を描いてみようという人はもっと別の画材、特に子ども向きとして売られているものの中に使いやすく発色が美しく、安価なものがいくつもあることに目を向けてみていいと思います。日本は文房具大国ですから、筆記具にもすばらしいものがいっぱいあります。本書でも筆ペンのよさに言及しています。

画家の絵は描いたものが「売れる」存在です。売れるものならば、元手をかけて当然でしょう。しかし、全くの素人がフランス製の高級水彩紙でもないんじゃないか、と思います。こうした技法書を参考にしつつも、もっと経済的で簡単に絵が描ける方法はないか、と自分なりの方法を模索していいのではないでしょうか。


透明水彩でスケッチ散歩―今日も一枚描いてみよう
透明水彩でスケッチ散歩―今日も一枚描いてみよう
青木 美和

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コメント

春さん、コメントいただきありがとうございます。

透明水彩の技法書はどっさりあって、Webにもあちこちあって、それらを見ると、もちろんプロかセミプロの人ですから、うまいのですが、「好き」な絵と「どうもなあ」という人とあるのがわかりました。で、人間は好きな方法で、好きなものを描くのが一番だろう、と考えたわけです。

あと、透明水彩をちょっとやってみて、これはあんまり好きではない、と思ったんですね。もっと手軽に描ける方法として(毎日描くのがいいんですから)、鉛筆や色鉛筆、クレヨン、クレパスがあるではないか、と思ったのです。

趣味にはお金をかけたいのが日本人かもしれません。しかし、絵の場合は画材は消耗品なので、べらぼうな値段だったら気軽に描き続けることはできません。一枚500円のアルシュに描かないとそれらしく描けないようなものだったら、苦しいじゃないですか。

春さんは油彩をかなり長くやっておられたということですから、再開されたらすぐに勘を取り戻されるでしょう。再開されたら、ぜひ教えてくださいね~!

優嵐さん、こんにちは〜♪

>自分が好きだと思う画家の描き方を真似てみるのがいいように思います。

とても良い考えですね。まずは憧れる人からですね。野球ならイチローみたいになりたいとか、絵画ならモネのような絵を描きたいとか、何事もまずは憧れの人の真似から始まりますね。そうしてゆくうちに、色々なことが分かるようになり、更に進むと自分の個性が出てくるものなのではないかと思います。

>「今日も一枚描いてみよう」

日記でも仕事でも絵でも、まずはコツコツ毎日のようにやることからですね。優嵐さんが仰有るように、何事も一定の技術が必要ですから、習うより慣れろ、で毎日のようにやっていると、知らぬ間に上達してゆくものなのかも知れませんね。

>全くの素人がフランス製の高級水彩紙でもないんじゃないか、と思います。

毎日のようにやることが何より大切ですから、高価な紙は毎日が不可能になり、素人にとって上達を阻害すると僕も思います。高価なパソコンで文字を書けば素晴らしい文章が出来る訳でもありませんものね。やはり安いがいちばんですね。(^_-)-☆

僕もすぐにという訳ではないかも知れませんが、モネの建築物や静物画、東山魁夷さんの絵、が好きなので、そこらへんから物真似で初めてみようかしらん。(^^)v

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