« アダルト・ピアノ | トップページ | 心と生命 »

2010年9月26日

見てすぐ描けるスケッチの構図

◇◆第692回◆◇

4881081918見てすぐ描けるスケッチの構図
視覚デザイン研究所編集室
視覚デザイン研究所 2006-09

by G-Tools

絵になる絵を描くために工夫すること
眺めのよい場所でこれはいい、と写真に撮ったものの、後で写真を見てがっかりすることがあります。自分が見た(と思っている)ものと写真があまりに違うからです。その原因は構図の力にある、と本書は冒頭で述べています。私たちは無意識のうちに目の前の景色を整理し、自分が見たいと思ったものを引き寄せたり、不要なものを省いたりしてその場面を見ています。写真だとそれができないため、自分の印象と違うと感じてしまいます。絵を描く時は、この自分の構図力を最大限に生かした絵づくりをすればよいのです。

ポイントの第一はトリミングです。観光地のようなすばらしい景色ももちろんですが、近所の風景でも普段と違う目で見て、描きたいと思うところを切り取るようにすれば、日常も絵になります。むしろ、日常にこそ絵になる材料が転がっているといえるかもしれません。また、神社やお寺、教会といった宗教的な空間は視覚効果を計算したつくりになっているため、そこへ行ってみることを勧めています。

さらに、スケッチは見たものをそのまま描く必要はありません。電柱や電線といった不要物を省いたり、遠近感を強調するために前景を大きくはっきりと、遠景を淡く小さく描くといった工夫を取り入れることによって絵にメリハリを生むことが大事です。本書でお手本として示されているスケッチの隣にその情景の写真が載っていますが、スケッチよりはるかに平板で味気ないものです。スケッチが魅力的なものになっているのは、画家が自分の中で情景を構成し直し、自分の感覚で組み立てているからだということがわかります。

構図を組み立てるときは、主役と脇役を決め、そこにはっきり加重の違いを出し、メリハリをきかせることが大事です。主役にするのは自分が描きたい、と思ったものです。主役は、画面の中心にある、大きい、明暗のコントラストが強い、などで、要するに画面の中ではっきりと目立つ存在になる必要があります。脇役は主役の邪魔にならないように描きます。主役が弱い場合、脇役はあまり描かず、添え物くらいに描くとちょうどいいのです。

これらのことを中心に、遠近法、見上げた構図、見下ろした構図などのコツについても触れられています。さらに、リズム・アクセント・対比を生かした高度な構図の作り方についても述べられています。スケッチも料理と同じで、異なる要素(曲直、大小、水平垂直、粗密、明暗)を組み合わせることによって、飽きの来ない食感や味付けを生み出すことが出来ます。これらを駆使すれば同じ情景を見てもずっと「絵になる」絵が描けるのです。


見てすぐ描けるスケッチの構図―実景を魅力的な絵にする14の構図のキーワード・描き順付き
見てすぐ描けるスケッチの構図―実景を魅力的な絵にする14の構図のキーワード・描き順付き
視覚デザイン研究所編集室

関連商品
見てすぐ描ける水彩スケッチ―下図から完成までの手順がわかるモチーフガイド
見てすぐ描けるスケッチの色彩―着彩の手順に沿って色づくりがわかる使用色ガイド
はじめてみよう水彩スケッチ―観察のコツと見せかたのテクニック
学校では教えてくれない風景スケッチの法則―不透明水彩絵の具ガッシュを使って描く
どこでもスケッチング―メモ用紙とえんぴつと立ち止まる勇気と、時々デジカメ
by G-Tools

« アダルト・ピアノ | トップページ | 心と生命 »

絵・デザイン」カテゴリの記事

コメント

はるさん、コメントいただきありがとうございます。

構図の力というのはとても大きいのでしょうね。多分、絵や写真の土台になるものなんだろうなと思います。写真なんか、機材はもうすごく進歩していますから、プロとアマの違いは構図くらいしかないかもしれません。ですから、ちょっと工夫すると、随分進歩するのでしょう。

お子さんが誕生されると、写真を撮る機会が倍増しますよね。お家のカメラマンはやっぱりパパさんということになりますから。「煙突」は面白い呼び名ですね。首や頭に何かが横から刺さっているように見えるものもあったりしますよね(笑)。

絵や写真を見て、いいかそうじゃないかわかるということは、潜在的にみんな構図力を秘めているのでしょう。それを見出せば、ぐんと力アップ!

COXさん、こんにちは〜♪

構図で絵が大きく変わるというのは面白いですね。
僕も子供が生まれてから写真を沢山取りだしたのですが、やっているうちに背景や構図の重要性が分かってきました。「切り取り方」「寄り方」「引き方」「ボケ味の出し方」「構図」などを楽しむことで、単なるスナップ写真も趣深い写真になったりならなかったりするので不思議です。スナップ写真の家族の頭の上に電柱が立っているのは写真用語では「煙突」と呼ぶそうです。(^_^; やはり背景や構図が絵や写真に与える影響度は絶大ですね。
芸術と名の付く万物は、切り取り方や脚色のしかたや強調のしかたや変形のしかたといったことで独自性を持たせて現実とは違う「自分だけに見えるもの」を見せる行為なのですね。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« アダルト・ピアノ | トップページ | 心と生命 »