« 孤独であるためのレッスン | トップページ | バッテリー »

2010年7月 9日

水彩画革命

◇◆第671回◆◇

480858588X水彩画革命―トレース水彩画で描く湘南・鎌倉の12ヶ月
森田 健二郎
東京地図出版 2010-01

by G-Tools

トレース水彩画で簡単に美しい絵を描く
アマチュアが絵を描くとき、悩みの種はうまく描けないということです。デッサン力が不足しているため、見たように描けないのです。見る力がもともと無いともいえますが。著者はそうしたアマチュアの悩みを一気に解消する方法としてこのトレース水彩画という技法を開発しました。これは、「写真を拡大し、それをカーボン紙を使って写し取り、そこから水彩画を描く」という方法です。デッサン力ゼロでも写真のように描けるのがこの技法の最大の魅力でしょう。

そんなの邪道、と思われるかもしれません。本書のあとがきで著者自ら「オリジナリティや芸術性なんてないのでは?」という疑問に応えて、それは大きな間違いであり、あなたの描く一本の線にあなたそのものが表れます、と書いています。実際そうだろうと思います。そもそもオリジナリティや芸術性って何?ということから考え直すべきでしょう。現在のプロの芸術家ではデッサン力が絶対視などされてはいません。見たとおりに描けるというのは、写真が無かった時代ならいざ知らず、今はほとんど意味を持ちません。

さらに、写真から原画を描き起こしていくというのは実にすばらしい方法です。今は誰もがデジカメやプリンターを持ち、簡単に撮影して拡大することができます。それを有効活用し、自分なりの絵を描いて楽しもうというのが本書の趣旨です。著者自身、50歳になってから絵を描き始めたといいます。写真も趣味であったことから、写真がどんどん進歩しているのに、絵を描くことについての方法がほとんど進歩していないことに驚いて、この技法を開発しました。

この画法ではデッサン力よりも題材に何を選ぶか、色彩や構成をどうするかといったことに重点が移ります。芸術的なセンスはむしろこちらでこそ問われるものでしょう。色づけの方法や構成の仕方についても本書では説明してあります。彩色の前に耐水性のまんが墨汁を使って陰影のグラデーションを描いておくというのは、グリザイユ画法に似ています。

今までいろいろな画法書を読みましたが、デッサン力のないド素人が一から描けるものとしてこれはピカいちではないかと思います。他のものはどう頑張ろうと、もともと絵がウマイと言われていた人でなければ描けないようなものばかりでした。一度自分が写真のように描けるのだということを体験すると、その先は全く変わってきます。写真に写っているものをすべて描くのではなく、自分で取捨選択し、強調したり省略したりできるようになります。それが個性や自分らしさへとつながります。これがオリジナリティというものでしょう。


水彩画革命―トレース水彩画で描く湘南・鎌倉の12ヶ月
水彩画革命―トレース水彩画で描く湘南・鎌倉の12ヶ月
森田 健二郎

関連商品
開明 まんが墨汁 (純黒)30ML
水彩画プロの裏ワザPART2 (The New Fifties)
失敗しない水彩の色づくり―8色の絵の具で、さらりと風景を描こう
by G-Tools

« 孤独であるためのレッスン | トップページ | バッテリー »

絵・デザイン」カテゴリの記事

コメント

はるさん、コメントいただきありがとうございます。

はるさんがお絵かき少年だったとは意外です(笑)。私も子どものころは漫画家になりたいと思っていたくらいでしたから、毎日絵ばかり描いていました。

>いったんインプットして自分の脳味噌の中で洗濯してそれをアウトプットしたものは何でも芸術ですね。

確かに。脳みその中を取っているときに「神の手」も加わっているんだと思います。

オリジナリティとか個性というもの、実は出そうとして出るものではなく、隠そうとしてもにじみ出てしまう、そういうものなんだろうと思います。出そうとして出るものは、まあタカが知れているということでしょう。

COXさん、こんにちは〜♪

絵画ですか。僕は今でこそ殆ど絵を描かず読書ばかりですが、子供の頃から一人で何かするのが好きだったので、小学生まではお絵描き、工作ばかりしていました。家族でどこか旅行に行っても一人でスケッチブックに鉛筆で風景デッサンばかりしていたな〜。昔からオタッキーでした。(^_^;

>「オリジナリティや芸術性なんてないのでは?」という疑問に応えて、それは大きな間違いであり、あなたの描く一本の線にあなたそのものが表れます、と書いています。

なるほど!僕もそう思います。
「写真の上でトレースしたら芸術じゃない」というのなら、「じゃあシャッター切るだけの写真も芸術じゃないじゃない?」ということになってしまいますものね。(^_-)
少しでも自分自身の脳味噌で考えて作ったものは何でも芸術だと思います。
例えば、写経だって自らの脳を使って考えながらやればそれで充分芸術だと思います。
いったんインプットして自分の脳味噌の中で洗濯してそれをアウトプットしたものは何でも芸術ですね。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 孤独であるためのレッスン | トップページ | バッテリー »