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2010年6月12日

神秘学概論

◇◆第665回◆◇

4480083952神秘学概論 (ちくま学芸文庫)
ルドルフ・シュタイナー  高橋 巌(訳)
筑摩書房 1998-01

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人間とは何か、宇宙とは何か
シュタイナー四大主著の一冊であり、その思想の根幹が綴られています。正直に言うと簡単には理解できません。用語が特殊ですし、科学的な思考になじんでいる現代人にはとうてい本当とは思えないようなことが、特に後半部分に記されています。とはいえ、理解できるところからじっくり読んでいくと人間とは何か、世界とは、宇宙とは何かという誰もが心に描くであろう質問のヒントが得られます。そのうえで自分自身で思考し続けることが大事なのだと思います。

肉体、エーテル体、アストラル体、自我
今の私にとってはとりあえず「人間性の本質」と「眠りと死」の部分がもっとも興味深く読めました。人間は単に肉体だけの存在ではありません。シュタイナーは人間を形づくっているものを肉体、エーテル体、アストラル体、自我の四つに分けています。そして、この物質世界に存在する四つのもののあり方をそれに対応させています。肉体-鉱物、エーテル体-植物、アストラル体-動物、自我-人間です。意識が進化するに従って後のものが新たに加わって現在の人間ができあがっています。

人間が死ぬと人間は鉱物と同じ状態に戻ります。つまり肉体とは人間の鉱物部分であり、生きている間は何らかの別の力が働いてそれが鉱物本来の力にゆだねられることに抵抗しています。ここが超感覚的な事象を科学するときの出発点です。この次に登場するエーテル体とは、生命体とも言うことができます。生命があると考えられるものはすべてこれを持っています。植物とは肉体とエーテル体からなる存在といえ、人間のような意識は持っていません。

意識を生じさせるものがアストラル体です。アストラル体なしでは睡眠状態から脱け出すことができません。人間はエーテル体を植物と共有し、さらにアストラル体を動物と共有しています。エーテル体なしでは肉体は崩壊し、アストラル体なしでは植物状態になってしまいます。そのうえで人間を動物とはっきりわけているものが自我の存在です。自我の役割は過去を現在に取り込み、持続する体験を人間に与えることです。

「私」(自我)---神につながるもの
自我は魂と似たものととらえていいのかもしれません。魂についてシュタイナーは、外界を意識してそれを取り込むあり方と、さらにもうひとつ別のあり方も描いています。それを示すのは「私」(自我)という言葉です。「私」という言葉は他のすべてから独立しており、その言葉を発する人がそれを使うことができるのは自分自身に対してだけです。この言葉は、「私」なる本来の存在は、外なる一切のものから独立しているという深い真実を表しています。

ユダヤ教では、「私」という呼び名を「神の言い表し難き名前」であると述べています。これは、自分が神であるという意味ではなくそこを通って神につながるという意味です。人間は、自我というみずからの内にある神的なものを通して、自分自身の内的な意識を獲得します。自我の本来の役割は、内的意識を通じて獲得した神的なものとのつながりを通じて、「私」が魂の生活を支配することです。「私」が自分の魂を、霊的に高貴なものとなるよう働きかけていく必要があります。

眠りと死
眠りと死について、人間が眠るとアストラル体は自我を内に抱えて眠っている人の身体から離れます。このときもエーテル体は肉体とともにあり、崩壊するのを防いでいます。覚醒時のアストラル体は人体に戻っていますが、アストラル体自身の故郷はこの物質世界ではありません。もっと大きな宇宙です。肉体が生きるために物質的なものを必要とするように、アストラル体は睡眠によって本来の場所に戻り、それ自身が必要としている養分を補ってくるのです。

眠りの状態において肉体と結びついていたエーテル体は死に際しては肉体を離れ、しばらくアストラル体と結びついています。その後アストラル体はエーテル体と離れ、独自の道を歩みます。死後、最初に生前の体験が記憶絵画として現れます。アストラル体が受肉していたときに体験していたことはすべてその中に保たれており、自我はある程度まで霊我、生命霊、霊人を形成しています。これらのことが生前想起できないのは、肉体と結びついている間は自我が肉体に拘束されているからです。

転生についてシュタイナーは「ある偉大な才能はその血族の最後に現れる」と書き、それが「ある人物が自分の人格のために必要な身体を求めたからだと考えられる」としています。遺伝というのは物質的な出来事といえます。もしそれが全面的に才能の原因だとしたら、偉大な人物の子供や孫はもっと偉大になっていいと思いますが、そのような例はほとんどありません。

難解な後半部分
本書の後半は「宇宙の進化と人間」と題して、深い霊学の考察が述べられています。ここはなかなかすんなりとは納得しかねる部分でもありますが、宇宙というのは、宇宙物理学が扱うような計測や観測によって実体をつかめるものの背後に、さらに広大な領域が広がっているに違いないと思います。科学が測れるのはいわば「明在系」であり、宇宙はそれとともに開示されていない「暗在系」があり、計測できる宇宙はそこから常に流れ出てきているものなのです。


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