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2010年5月16日

病気が教えてくれる、病気の治し方

◇◆第663回◆◇

4760126457病気が教えてくれる、病気の治し方―スピリチュアル対症療法
トアヴァルト・デトレフゼン リューディガー・ダールケ  シドラ房子(訳)
柏書房 2004-11

by G-Tools

健康と病気についての新しい視点を与えられる
人間は病気になるのではなく、もともと病気なのだ---という考え方について、健康と病気について述べています。西洋医学は病気を敵視し、それを克服すべく懸命に戦ってきました。しかし、病気はなくなっていないし、これからもなくなることはないと著者は予言しています。病気は死と同様、人間存在と不可分のものです。本書の第一部では、その考え方について、第二部でそれぞれの症状について考えるヒントを書いています。西洋医学にどっぷり浸かっている人はもちろん、「ナチュラルでヘルシーな生活」をしていれば健康でいられると考えているような人でも受け入れるのが難しいところのある考え方かもしれません。

人間がもともと病気である、ということの意味は人間が「両極性」から逃れられないというところにあります。ものごとをすべて分け、ある一方を選ぶことでしか存在できないからです。夜と昼、善と悪、表と裏、人間はこれらを認識するためにいずれか一方を選び取ります。同時に同等に意識することはできません。これが人間意識の両極性ということです。ここにすべての病気の根元があると著者は指摘しています。宇宙の本来の姿は「単一性」です。そして、単一性とは否定形でしか表現することができません。時間がない、空間がない、変化がない、境界がない。

両極性の典型は時間の概念です。宇宙には本来時間はありません。しかし、両極性の中でしか生きられない人間の意識の中でそれが分裂して過去と未来が生じるのです。左脳と右脳、意識と無意識という例をひいてこれらのことに説明が加えられています。科学は左脳的に、分析的に発展して素晴らしい業績をあげましたが、それだからこそ右脳的、無意識的なものを理解することも解決することもできません。

症状に耳を傾ける
ここで、著者は「影」の存在も指摘しています。影とは意識が認めたくないものを無意識下に押し込んだものです。それが症状を通して現れてきます。症状と病気は性質が少し違うものです。症状は自分が見たくないと思っているものを身体症状を通して見せてくれるものであり、そこに耳を傾ければ健康になるための助けになります。ところが、大多数の人は症状を敵視し、抑圧するためさらに症状は悪化して病気になるのです。

人間がもともと病気であり、病気から逃れられないというのは、人間にとって不快な考え方です。しかし、もともと死に至る病をもって生まれてくるのが人間だと考えるべきなのでしょう。生と死は両極性の典型です。人間は同時にそれを意識することができません。しかし、それは宇宙の中では単一性をもつ表裏一体のものなのです。病気や死を忌み嫌い、やっつけてやろう、どこまでも避け続けようと試みても、人間にはさらなる深刻な病が押し寄せるだけです。

見ることを学び、視点を変える
形而上の体系や宗教や秘儀は<この世界を改革すること>ではなく、<この世界を脱すること>を教えています。この意味は取り違えられやすく、「世界がどうなってもいいというのか」という的外れな誤解にさらされます。そして「自分の外側の何かが間違っている。だから、それを変えさせよう」というキャッチフレーズの方が耳ざわりがいいため、人はそちらに靡くのです。世界を変えよう、戦争をなくそう、貧困をなくそう、がんを撲滅しよう…、できません。

人ができるのは「見ること」だけだと著者は本書の最後に書いています。世界を変えるのではなく、変えるべきなのは自分のものの見方、つまり自分の視点だけです。これは簡単そうにみえて、容易なことではありません。内側を見るより外側を見る方が人間には容易であり、原因を外側に探して被害者になるためなら何でも利用します。ものごとが発展するのは視点が変わるからであって、目に見える作用は新しい視点がもたらしたものにすぎません。

意識化することの重要性
症状があらわれた場合それに耳を傾け意識化することが重要です。それによって自分の真の姿を見るのです。私たちが体を持って生まれてくるのは意識化するためです。健康について西洋医学を批判してさまざまな代替医療や健康法を実践すべし、と説いている本の中にも結局は体をどう健康に保つかということに留まっていて、その先のことまでは述べていないものが少なくありません。それを見たくない、耳ざわりのよいことしか聞きたくないと思っているのがこの社会だからなのかもしれませんが。

健康にのみ心を配ることは、お金や名声、家族、仕事といったものに執着することと意識レベルでは変わりません。すべてこの世で土にかえり持っていくことはできません。残るのは意識だけであるのに、それが一番おろそかになっています。意識化が私たちの存在意義であり、全宇宙はそのために動いています。意識化と自己認識、それだけが目指すべきことなのです。


病気が教えてくれる、病気の治し方―スピリチュアル対症療法
病気が教えてくれる、病気の治し方―スピリチュアル対症療法
トアヴァルト デトレフゼン リューディガー ダールケ Thorwald Dethlefsen

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コメント

はるさん、コメントいただきありがとうございます。

安保氏の本は私も何冊か読みました。免疫という視点から病気を見ると、西洋医学の矛盾点がいろいろ明らかになるようですね。西洋医学が一番効果を発揮したのは急性感染症の時代までだったのじゃないかな、と思っています。そして公衆衛生が効果的だったのもそこまでかな、と。

20世紀の後半以降、病気の性質が変わってしまっています。病気はなくならないし、減ってもいないというこの著者の言葉、確かにそうだと思います。がんや心臓病が増えているといいますが、他の病気で死ななくなった結果ですよね。

がんはもともと人間の遺伝子に組み込まれており、人間存在の根本と切り離せない病なのではないでしょうか。がんはその人自身の細胞が突然変異によって不死化し際限なく分裂するようになったものです。正常な細胞は一定期間たてば死ぬのに、がん細胞は死なない。これ、死を遠ざけようとひたすら忌み嫌う現代社会の人間を象徴しているように思えます。

人間は死ぬ存在であり、そのことを考えられるから生に意味があるのですよね。仮にもしがんをすべて撲滅できたとしたら、それに変わるもっと凄い病が自然に起こってきそうな気がします。エイズのさらに強力なものとか、正体不明の奇病のようなものが。

また、日本では、10代から40代の死因の一位か二位は男女とも自殺です。モノが溢れ、戦争とも無縁な社会で年間3万人の自殺者がここ十年以上続いています。物質的なものにのみ価値を置いている限り、生きていくことへの空虚さは広がるばかりだろうと思いますね。

COXさん、こんにちは♪

安保徹氏が西洋医学の宿命的な欠点を見事に捉えている本を「免疫革命」に同じようなことが書いてありました。安保先生自身は免疫学という西洋医学の権威でいらっしゃるのですが、研究すればするほど西洋医学の根源的な問題点に気付くとおっしゃていました。

安保先生の「免疫革命」を読んで書いた僕のデータベースを引用させて頂きます。

■三大療法ではガンは治らない
・安保さんは断言している。抗ガン剤、手術、放射線療法の三大療法ではガンは治らないと。手術というのは身体にとって衝撃的な組織破壊であり、それにより免疫の働きが抑制されてしまう。また、抗ガン剤も放射線療法も免疫機能を抑制することによってガン細胞を小さくしようとするものであり、根本的には逆効果だ。治療が終わることには免疫機能がボロボロになって、今度ガンが再発してきたときにはもはや体は対抗する能力もなくなってしまっている。ガンを取り除く大手術を行ったら別人のようにやつれてしまった、抗ガン剤治療や放射線療法をしたらとても普通の生活が送れない程体力が落ちてしまったということは良くあることだ。さらに末期ガンではモルヒネという最も交感神経を刺激する薬剤を投与してしまう。モルヒネを打てばもちろん症状は軽くなるが、本当にガンを治すべき免疫力は体力疲弊により全くなくなって、単に死を待つだけの存在になってしまう。

人間を単なる部品の集まりでしかない、と考える西洋医学にはその素晴らしさととともに根本的な欠陥も内包しています。健康と病気、生と死、そういった無理矢理な二元性から一歩脱して、健康も病気も同じものと捉え、生と死も同じものと捉える、そういう考え方の転換が必要であると思います。

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