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2009年7月30日

論語

◇◆第599回◆◇

4000071696論語 (ワイド版岩波文庫)
金谷 治(訳注) 岩波書店 2001-01

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人としての生き方を問う
孔子(B.C.552-B.C.479)とその一門の言行録。儒教の四書五経のひとつです。2500年近く前の中国の大古典ですが、読んでみると人間というのは変らないものだ、との実感を強くしました。人間心理とその行動が変らないということです。服装や持ち物、生活習慣、政治形態が変っても古今東西人間の根本心理は変らず、おそらく2500年後どころか2万5千年後に読んでも同じでしょう。それゆえ、本書がずっと読み継がれているのです。

本書が語るのは「人としての生き方」です。どのような生き方が望ましいか、どのような人が望まれるか、人の上に立つ人はどうあるべきか、人に仕えるときはどうするべきか、といったことが短い言葉で綴られています。理解できないような難しいことは書いてありません。しかし、実行できるか、となると話は別です。

義を見てせざるは勇なきなり---行うべきことを前にしながら行わないのは臆病者である。
利に放(よ)りて行えば、怨み多し---利益ばかりにもたれて行動していると、怨まれることが多い。
我れ三人行えば必ず我が師を得。其の善き者を択びてこれに従う。其の善からざる者にしてこれを改む---わたしは三人で行動したら、きっとそこに自分の師をみつける。善い人を選んでそれに見ならい、善くない人にはその善くないことを(わが身について)直す。

意なく、必なく、固なく、我なし---勝手な心を持たず、無理おしをせず、執着をせず、我をはらない。
速かならんと欲するなかれ。小利を見ることなかれ。速かならんと欲すれば則ち達せず。小利を見れば則ち大事ならず---早く成果をあげたいと思うな。小利にとらわれるな。早く成果をあげたいと思うと成功しないし、小利に気をとられると大事はなしとげられない。
己の欲せざるところ、人に施すなかれ---自分の望まないことは人にしむけないこと。

過ちて改めざる、是れを過ちという---過ちをしても改めない、これを(本当の)過ちという。
能く五つの者を天下に行うを仁と為す。恭寛信敏恵なり。恭なれば則ち侮られず、寛なれば則ち衆を得、信なれば則ち人任じ、敏なれば則ち巧あり、恵なれば則ち以って人を使うに足る---五つのことを世界中に行うことができたら仁といえる。恭しければ侮られず、寛(おおらか)であれば人望が得られ、信(まこと)があれば人から頼りにされ、機敏であれば仕事ができ、恵み深ければうまく人が使える。

人間の弱さは変らない
『論語』が述べているこれらの項目のひとつでも一生確実に実行できたら、それだけでひとかどの人といえるのではないでしょうか。人間は誘惑に弱く、他人に厳しく、自分に甘いものです。だからこそ、自分への反省として、自分を律してくれるものとして、『論語』を座右に置く人が多いのだと思います。

孔子が最も重視したのは”仁”であったようです。「仁遠からんや。我れ仁を欲すれば、ここに仁至る」と孔子は述べていますが…。また、何度か”昔は良かった”的な記述が出てきます。これには苦笑します。2500年前でも「今の若いものは」と言っていたのであり、孔子でさえその言葉を口にしている。人間は変っていないし、これからも変らない、そして愚痴らずにはいられない、それが人間ということです。


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