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2009年7月 2日

証言・臨死体験

◇◆第584回◆◇

4167330113証言・臨死体験 (文春文庫)
立花 隆
文藝春秋 2001-08

by G-Tools

日本人23人の臨死体験インタビュー記録
立花隆が23人の臨死体験者にインタビューした記録です。体験時に本人が見たものを描いた自筆画もいっしょに掲載されています。体験内容はそれぞれ微妙に違うのですが、大枠で囲むと似ている部分がいくつかあります。三途の川らしいものと花畑を見る人が多く、全員非常な爽快感に包まれています。そして、あれほど気持ちがいいのなら死ぬのは恐くないと口にしています。

死後の世界の有無は不可知ではあるが、人は死ぬとき何かを見て何か特殊な意識の体験をするようだ、と著者は書いています。体外離脱して自分を見下ろす体験をしている人はこの中では半々くらいですし、体験もほんの一瞬で終わってしまっている人と、かなり入り組んだ複雑な体験をしている人とがあります。

臨死体験はこの世の次元を飛び越えて高次の世界に入ること?
中でも一番興味深かったのは彗星探索家・木内鶴彦氏の体験でしょうか。彼が彗星探索家になったのは、臨死体験がきっかけでした。航空自衛隊に勤務していた22歳のときに上腸間膜動脈性十二指腸閉塞という珍しい病気のために瀕死の状態に陥ります。このときトンネル体験、三途の川、亡くなった伯母と出会う、体外離脱といった典型的な臨死体験をします。

さらに、「意識」となって父親の身体に入り込みその視点で周りを見ています。これを空間を超越している状態と考え、その段階で時間も越えられるかもしれないと思い、自身が6歳のときに起こった不思議な出来事の現場に行こうと思います。すると、実際にそこに行き、そのときの不思議な出来事を逆の立場から体験するのです。タイムマシンに乗っているような記述が続き、時間も空間もある意味では幻想かもしれない、と感じます。

また、体外離脱状態で経験していることが夢か現実か確かめてみたいと思い、故郷で友人たちが集まってお酒を飲んでいるところを訪ねます。回復してから友人に会い、自分が目撃した情景は実際にあったことだと確認しています。さらには未来と思われる場面まで見て、その何年か後に実際にそれとそっくり同じ情景の中で同じ経験をします。

この不思議な体験を彼は「臨死体験というのはこの世の次元を飛び越えて高次の世界に入ること」と解釈しています。この世は三次元と直線的に進む時間の矢に支配された世界です。通常の肉体の中にいるままではこの境界を飛び越えることはできませんが、臨死体験ではそれができるのです。ということは、死ねば完全にそれを飛び越えてしまう可能性は高いでしょう。

臨死体験によって「生かされている」ことを知る
臨死体験者の誰もが、夢とは全く違う非常にリアルな体験であり、忘れられないと言っています。証言者のうち、当時4歳だったという人でも鮮明に覚えているのです。そして、死んでいくときは痛み、苦しみ、悲しみなどは全くなく、それまで病苦であえいでいたとしても非常に快適な、経験したこともないほどの心地よさに包まれると言っています。だから死ぬのが全く恐ろしくなくなった、というのです。

死ぬのが恐ろしくなくなったけれど、「死にたい」という人はこの中にはありません。臨死体験をすると、自分は生きているのではなく、生かされているのだという思いが強くなるようです。生きるも死ぬも自分の意思というよりはその生かしてくれているなにものかにかかっている、だから、それにおまかせしていればよいという感覚になるのでしょう。

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