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2009年4月28日

ひらがな思考術

◇◆第556回◆◇

4591086291ひらがな思考術
関沢 英彦
ポプラ社 2005-04

by G-Tools

自分のことばで発想し表現するために
「腑に落ちる」というのはできそうでできないことです。頭やリクツではわかっているのだが、今ひとつ自分のものにならない、何か違和感がある、借り物の感じがする、そういうことは意外に多いものです。情報過多の時代、押し寄せる情報の数々は横文字や漢字の専門語や流行語になりがちです。それを消化して自分のアイデアを出していかなければならないのですが、借り物感がある限り、相手に届くものにはなりません。では、どうすればよいのか、それを本書では「ひらがなで考えよ」と提案しています。

1)ひらがなは、ほどく
ひらがなで考えることによって、煮詰まった問題を解きほぐします。漢字や横文字を詰め込みすぎると消化不良を起こします。ひらがなにおきかえていけば問題の所在がはっきり見えてきます。

2)ひらがなは、かんじる
ひらがなのことばで五感をストレッチします。世界に満ちているものを感じ取りたいと思ったとき、ひらがなで表されることばは、とても助けになります。ひらがなは、目・耳・鼻・舌・手の働きにもなじみます。

3)ひらがなは、つなげる
ひらがなは、無意識から思いをくみあげて、他の思いにつなげていく力を持っています。思わぬことを結合することで、創造力を高めるのです。日本語を母語とする場合、ひらがなは発想の宝庫です。

4)ひらがなは、あらわす
ひらがなは、プレゼンテーションの効果を高めます。発想したものを表現されたものに持っていくときに、ひらがなで表されるような簡単なことばは大いに役立ちます。ひらがなは、ひとを動かす力を持つ「現場のことば」です。

5)ひらがなは、くつろぐ
ひらがなの単語を、口の中で転がしていると、気持ちがくつろぎます。ことばがマッサージをしてくれるようです。自分をとらえなおしたいときにも向いています。ゆったりと考えられるのです。

著者にひらがなで考える大切さを気づかせたきっかけは、コピーライターの仕事でした。いくら資料や専門書を読み漁ってもことばはうわすべりするばかりで、学校時代の勉強とはまるで違うことに戸惑ったといいます。無意識のフタをあけない限り、ひとのこころに届くことばはでてこないと思い当たり、それがひらがなだと気づいたのです。

ひらがなは、問題を身の丈にあわせ、自力で取り組んでいくため道具だと著者は記しています。ひらがなによって生身に近い問題の根っこのようなものがとらえられるからでしょう。


ひらがな思考術
ひらがな思考術
関沢 英彦

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コメント

はるさん、コメントいただきありがとうございます。

大変ですね、お疲れがでませんように~!

漢字からひらがなとカタカナを作ったご先祖様は凄いなと思いますね。英語の文書を見たとき、のっぺりとした印象を受けるわけがはるさんのご指摘でわかりました。日本語の文書のようなメリハリが無いんですね。

日本語の文を斜め読みできるのは漢字とひらがなのコンビネーションのなせるワザか、と目からウロコでした。見出しとかそういうもの以前の文章のビジュアルが持つ力ですね。凄い。

漢字について、この本の著者も役所の文書などはだいたい漢字だけ抜き出してならべても何が書いてあるか想像がつく、と書いていました。なるほどなあ。

命と「いのち」の微妙なニュアンスの違いというのは確かですね。こういう本当に微妙なところを現したいというのは日本人ならではかもしれない、と思います。

平安時代に和歌が発達し、女流文学が花開いたのもひらがなを発明し、それによって細やかな感情表現ができるようになったからなんですよね。このことは著者も本書の中で触れています。

ブースカさん、コメントいただきありがとうございます。

ひらがなで考えよ、というのは、「そのことを自分のものとしてきちんと把握し、自分自身の表現にする」ということの比喩かな、と感じました。漢字の素晴らしさもこの本では触れられていましたが、いわゆる専門用語になっている漢字というのは、なんだか難しくて人びとを遠ざけてしまうことがあると思うのですね。

例えばお役所言葉とか、法律や医療の用語とか、ビジネスの現場での横文字や漢語を思い浮かべてみると、なるほどな~と感じます。コアコンピタンスとかリテラシーとか、善処するとか、なんかわかったようなわからないような、でもって「わからない」といったらバカにされそうな…。

しかし、本当に自分の頭で考えるにはこういう言葉を「やまとことば」になおして、それってハラの底から考えたらどういうことか、と見直してみるのが大事だと著者はいいたいのだろう、と思いました。そして、相手のこころに響くような言葉はこういうところからしか出てこない、ということでしょう。

お役所言葉や専門用語(漢語や横文字)などが人を疎外する印象を与えるのは、上っ面をとりつくろって、冷たい鎧のようなものを受け取る人に感じさせるからだと思います。

福沢諭吉は「昨日田舎から出てきた召使の少女にもわかるような表現で書け」と言っていたそうです。自分が今伝えたいことを小学5年生の少女にもわかるように伝えられるかどうか、それが表現のキモ、とこの著者はいいたかったのだろうし、私もそれに同意します。

COXさん こんにちは〜♪

まだまだ残った資料をこなしてキャッチアップするのに必死でなかなか優嵐さんの歳時記やCOX読書ノートにコメントする時間ができず申し訳ありません。m(__)m

ひらがな・・・本当に素晴らしい日本人の発明だと思います。
仕事柄、英語の文章が7割、日本語の文章が3割ぐらい読みますが、英語よりも日本語の方が達者であるということを差し置いても、日本語の方が圧倒的に早く正確に文意を理解できます。日本語はひらがらの部分は飛ばす漢字だけ追って行くだけで猛烈な速さで速読ができます。ところが英語の場合は読み飛ばすことができるのはofとかinとかの助詞やtheのような冠詞だけで、あとの文字は殆ど全部読まないと意味を掴めません。このため、日本語の方はひらがなのおかげで猛烈な速読が可能になります。日本人はすごいものを発明したものです。

また、「命」よりも「いのち」、「直向き」よりも「ひたむき」、「魂」よりも「たましい」、といったように漢字とひらがなでは微妙にニュアンスが違っていて、我々日本人には「ひらがな」の方が何か深みを感じるのもひらがなならではの魅力であると思います。

機会を見付けて、僕も「ひらがな」をテーマにいろいろな本を読んでみたいと思います。面白いキーワードをまた一つ教えて頂き有り難うございます。m(__)m

こんにちは。
ひらがなで考えよ・・。
面白そうですが今ひとつ腑に落ちません。
自分の理解力が足りないのだと思います。
この本も手にとって見たいと思います。

COXさんは実際にどのようなご感想をお持ちで
すか?いつもの書評に比べご自身のご感想が
少ないように思え、ちょっとお尋ねしたく思いま
した。

自分は漢字の成り立ちに今まではかなり唸らされた
事がありました。呼吸法や禅の考えが自分の生活には
かなり影響が大きいのですが「息」を「自」の
「心」として漢字を作った人物は本当に凄い人だ
と思います。漢字にはこれと同様な例がかなり
あります。

ひらがな、これも考えて見たいと思います。

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