脳疲労に克つ
◇◆第479回◆◇
![]() | 脳疲労に克つ―ストレスを感じない脳が健康をつくる (角川SSC新書 39) 横倉 恒雄 角川・エス・エス・コミュニケーションズ 2008-05 by G-Tools |
●好きなようにやる、快食療法
健康情報は溢れかえっているのに、健康不安は逆に増しており、自分を健康だといえる人も少なくなっているという皮肉な現象がおきています。著者は1990年に日本で初めて「健康外来」を開設しました。その経験を元に、逆説的ともいえる「快食療法」を唱えて、さまざまな症状の改善に効果をあげています。これを一言で要約すると、「~をしてはいけない」「~をすべきだ」という従来よくいわれてきた療法をひっくり返し、「好きなように、やりたいようにやる」ということです。
ほとんどの医療機関では、肥満者にあれを食べるなこれを食べるなといい、もともと運動が嫌いな人に運動をせよ、と指導します。著者自身の経験から、これには無理があると指摘しています。多くの場合、その制限や指示がストレスになり、守れない、改善できない結果になるのです。人間にはもともと自分の健康を維持する本能があり、それを問題なく発揮させれば健康問題は解決するというのが著者の主張です。
●制限を取り払う
現代は情報過多であり、多くの刺激にさらされて本能を発揮すべき脳の部分が疲れ果ててしまっています。肥満や過食、さらにそれを原因としておこるメタボリックシンドロームや生活習慣病の根本的な原因もそこにあります。ダイエットや運動を勧めても、おおもとの大脳の疲れをなんとかせずに、表面的な数値目標を掲げるため、長続きしないのです。大脳の疲れをとるにはリラックスして好きなようにやることなのですが、まじめな人はなかなかそれができません。
食べることについて、著者のクリニックでは何の制限も加えません。ケーキを食べたい人はホールで食べたっていいといっているし、焼肉や脂っこいものも食べたいだけ食べていいとしています。また何時にどれだけ食べようとそれも自由です。朝ごはんを食べたくなければ食べなくていいし、夜の11時だろうと食べたければ食べていいのです。
●人間の身体に備っている本能を信頼する
そんなことをしたら、病気が悪化するのでは、と思いますが、一時的に数値が悪くなってもやがて改善していくといいます。ケーキや脂っこいものに目がなかった人も、貪るように食べるというのはほんの一時期で、やがてそういうものをあまり食べたいと思わない状態になります。人間の身体はそれ自身が最適の状態を保つバランス点を自らみつける能力があります。このように、身体に備わった知恵を信頼することがこの療法の根本にあります。
食べること以外にも五感を充分に使って、脳の働きを活発にすることも提唱しています。アロマテラピー(嗅覚)、音楽療法(聴覚)などいろいろその分野での専門的な名称もありますが、要は五感を楽しませるということです。美しいものを見て、いい香りを嗅ぎ、身体に触れて、楽しめる音楽や自然の音を聴き、といったことです。ここでも「~にいいから」という目的意識を持つことよりは、そのことが楽しい、ほっとする、といったことにゆったり身をまかせることです。
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