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2006年11月12日

スケッチブックをもって旅に出よう

◇◆第347回◆◇

4062683377スケッチブックをもって旅に出よう―はじめての水彩風景画
奥津 国道
講談社 2000-04

by G-Tools

60代から本格的に水彩風景画を描き始めた
著者が水彩の風景画を描くようになったのは60代に入ってからです。45歳で雑誌のアートディレクターから画家に転向し油彩で女性を描いていました。しかし、しだいに人物を描くのに疲れ、気晴らしにフランスへ旅に出かけます。そのとき水彩絵具とスケッチブックを持っていったというあたりが画家なのですが、それがきっかけですっかり風景画にはまってしまい、専門を変えることになります。

人物画には緊張があるが、風景画は心を癒してくれる、と著者はいいます。風景には包容力があり、人は決して孤独ではなく、大きな自然と長い時間の一部であることを感じさせてくれます。本書の帯には「黄金の濡れ落ち葉講座」とあって、可笑しくなりましたが、ここから本書が読者対象の中心を定年を迎える年代の男性においていることがわかります。

健康的で文化的で、経済的な風景水彩画
何か趣味をたしなむとしたら、水彩の風景画ほど健康的で文化的でしかも安あがりなものはないと思う、と著者は述べています。その理由ですが、素敵な風景を描こうと思ったら、絶好のスケッチポイントを探し歩く必要があり、足腰が鍛えられます。また、透明水彩の道具というものは実に安く、プロの著者がスケッチに使う道具一式をあわせても五万円ほどで買えるのです。

ゴルフクラブやカメラ一式が数十万円もすることを考えれば、物足りないほどの値段です。同じ絵を描くにしても油絵では数倍の値段がかかり、イーゼルやキャンバスが重くてかさばるため、気軽にもって出かけることはできません。それだけに画材には少し贅沢することを勧めています。奮発したところで総計五万円です。それでいて描き具合は断然違うのですから。

主題を絞って描くこと
三章と四章ではデッサンや着彩のテクニックについて述べてあります。さらに五章では、絵になる風景を探すコツ、さらには多くの人が描くポイントでは他の人と一味違う構図を使ってみるといい、などプロとしての実践から得られたアドバイスが載っています。そして、主題(モチーフ)を絞って描くことの重要性にも触れてあります。

素人の場合、ただ漫然と描き始めて中途半端な絵になってしまうことがあります。同じ風景を見ても主題を絞れば、まったく異なる絵を描くことができます。自分がその風景の中の何に一番ひかれたかが明確になっていれば、主題もはっきりしてきます。そして、それが絵のタイトルになるのです。

絵は万人をつなぐコミュニケーションになる
本書では著者がスケッチ旅行で体験した楽しいエピソードがいくつか披露されています。フランスでこんなにいろいろ楽しい経験ができたことの理由に著者は絵をあげています。絵を描くという「同行者」がいるだけで、関心や接点が大きく広がります。これはフランスだけではなく、万国共通のことだと著者はいっています。絵は言葉よりも通じるコミュニケーションの手段なのです。


スケッチブックをもって旅に出よう (黄金の濡れ落葉講座)
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奥津 国道

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