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2006年10月31日

日本の町並み(1)近畿・東海・北陸

◇◆第342回◆◇

4582943993日本の町並み―町の個性が育んだ歴史的景観に出会う (1)
西村 幸夫
平凡社 2003-03

by G-Tools

全国の歴史的町並みを大判の写真で紹介
中国・四国・九州・沖縄』『北海道・東北・関東・甲信越』とあわせ、全3巻で全国400ヶ所の歴史的町並みを取り上げています。大判で、写真の見ごたえがあり、その町並みがその都市や町のどのあたりに存在しているかを示す地図もついています。歴史的な町並みの魅力は、今も人々が住み、生活が営まれている場所であるというところが大きいでしょう。

城郭や寺社といった特殊建築ではなく、そこに生活があり、それが連綿と受け継がれ、地域の文化や伝統をささえて景観を形作っています。ここに登場する町並みを構成する建物の建築年代は江戸時代末期から昭和の戦前までが大半です。木造の民家という特性から、物理的な建造物の年代よりも、建築様式の受け継がれ方に着目して欲しいと著者は述べています。

現代生活と歴史的建造物を融合させていく
町並みを残すことを「保存」と呼ばず、「保全」と呼ぶのは、そこに今も営まれている現代生活と融合させながら歴史的景観を残していこうとするからです。相反するものを並存させるというのではなく、歴史の中で培われてきた空間を生かす智慧に現代技術をプラスし、新しい豊かさを作り出していこうとする試みでもあります。

歴史的町並みに人々がひかれ、そこを訪れてほっとしたり懐かしい思いにかられたりするのは、長く育まれてきた風土にあった住まいの姿を見るからでしょう。歴史的町並みには統一感がありながらも画一的ではない絶妙な美しさがあります。

多様性と統一感の絶妙なバランス
最近の日本の郊外の開発住宅というのは、個別の家それぞれが美や個性を主張しながら、町並みとしての統一感に欠け色も様式もバラバラで、全体としては無秩序で醜いものが少なくありません。歴史的町並みはそうした浅はかさとは無縁であるため、そこを歩くと気持ちが落ち着くのでしょう。

歴史的町並みは、住まい方を中心に分類すると、店を構えるタイプの町屋群と屋敷を構えるタイプの農家群に分かれます。急速な生活の変化で歴史的町並みの多くが変化せざるをえませんでしたし、その変化を押しとどめることは、住む人の生活があるだけに難しいことです。ようやく20世紀末から、町並み保全の試みも各地でさまざまに試みられています。

今の私たちの住居も未来の人にとっては歴史的景観になるはずです。できれば、先祖が残した”多様性がありながら統一感のとれた町並み”を21世紀にも作り上げたいものだと思います。


日本の町並み (3) (別冊太陽)
日本の町並み (3) (別冊太陽)
西村 幸夫

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