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2005年12月26日

ユダヤ人の頭のなか

◇◆第152回◆◇

475730241Xユダヤ人の頭のなか
アンドリュー・J・サター 中村 起子
インデックス・コミュニケーションズ 2004-07-22

by G-Tools

イデシェ・コップこそユダヤ式思考法
著者は日本人を妻にもつユダヤ系アメリカ人の国際弁護士です。歴史的に迫害を受けてきた、マイノリティであるユダヤ人が多くの分野で大成功をおさめるにいたった「ユダヤ人の成功手法」の本当のところを理解してもらうために、本書を日本人にむけて著したといいます。ユダヤ人成功の鍵は「イディシェ・コップ(ユダヤ人の頭)」という考え方です。

イディシェ・コップについて、理解しようと思えば、ユダヤ人の宗教と歴史を知らなけれいけません。国を失って宗教的迫害を受けながら世界各地へと離散していったユダヤの歴史の中で、「イディシェ・コップ」が培われていったからです。ただし、ユダヤ人とはいったい誰をさしていうのか、というのは少々難しい問題です。現代において、「ユダヤ人」は国籍ではありませんし、民族でもありませんし、血統だけで判断できるものでもありません。これだけで研究書が書けるほどの問題ですから、ここは概略だけが述べてあります。

ユダヤの陰謀などというものはない
イディシェ・コップとはユダヤ式思考の技術ですが、著者はそこに「ユダヤの秘密」というようなものはない、といっています。本書を書いた動機のひとつが20世紀の終わりごろに日本でも多数出版された「ユダヤの陰謀」を題材にした本であったといいます。”ユダヤの秘密組織が世界の金融を影で牛耳っている”といった類の本です。これらの本はヨーロッパでユダヤ人を迫害するために捏造された「プロトコル」といわれる文書に由来しています。

反ユダヤ主義の背景は深くこみいっていて、こうした感情問題は論理的な正当性が全くなくても成立してしまいます。理由がなければ理由をみつけだすのが人間というものだからです。誤った情報が悪意をもった扇動家に利用されたときどのような恐ろしいことが起きるのか、は20世紀の歴史が物語っています。

相手を知り相手に自分を知ってもらう努力
ユダヤの思考法の中で日本人が最も学ぶベきなのは、相手を知り理解しようと努め、相手にも自分を知ってもらうべく最大限の努力を払うということではないかと思いました。日本人は対外コミュニケーションが苦手です。特に自分とは異なる考え方に出会うと、驚きひいてしまう部分があります。これは著者からみてもそのようです。知らないことでも質問せず、「シカタガナイ」とあきらめてしまう、しかし、これからはそれではやっていけなくなります。

イディシェ・コップは粘り強く論理的な考え方です。何か困難なことが起こったとき、そこであきらめてしまうのではなく、常に何か別の道があるのではないか、と探る姿勢、それが大切です。そうしなければユダヤ人は生き残ってこれなかったのです。ユダヤ人は歴史的に常にどこにあってもマイノリティでした。著者は日本人もこの意識を持てばユダヤ式思考技術が生かせるのではないかと述べています。

シカタガナイとあきらめない
マジョリティは楽なのです。大勢にまかれていればそれでことがすみます。しかし、マイノリティは相手の意向を察知しようと努力し、自分のことも理解してもらわなければいけません。日本人は日本という国を出ればマイノリティですし、国内にあっても、さまざまな条件から自分がマイノリティの立場におかれることもあると思います。

そのとき、「シカタガナイ」とあきらめてしまうのではなく、どうすればこれを打開できるのか、と考え行動するところから、先が開けてきます。いったん引くにしても「シカタガナイ」ではなく、それなりの考えを持って引くことができるのです。
                                                 


ユダヤ人の頭のなか
ユダヤ人の頭のなか
アンドリュー・J・サター 中村 起子

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コメント

佐々木さま、コメントありがとうございました。
この本、頭の使い方もさることながら、
ユダヤ人の歴史について、少し知ることができ、
よかったです。
まだまだ知らないことはいっぱい、ですね。

偶然たどりつきました。
この本の書評を書いている方は多いですが、COXさんの書評が
一番ふに落ちました。
2006年最初の本として、購入して読んでみたいと思います。
素晴らしい書評ありがとうございます、参考になりました。

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