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2005年11月30日

老人が社会と戦争をはじめるとき

◇◆第145回◆◇

4797328495老人が社会と戦争をはじめるとき 超高齢化社会をいかに生きるか
フランク・シルマッハー 佐藤 正明
ソフトバンククリエイティブ 2005-09-28

by G-Tools

これから老人になっていく人たちのために
ここでとりあげられている「老人」とは現在75歳以上の人たちのことではありません。未来の老人たち、日本で言えば戦後から昭和50年代ころまでに生まれた人たちのことです。著者は1959年生まれのドイツ人哲学博士で、『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイング』誌の共同編集者です。

少子高齢社会問題は先進国であればいずれもが将来の社会危機としてとらえている問題です。そのことを年金や社会保障、労働力の不足など経済問題として論じたものは数多くあります。しかし、本書ではそれ以上に人間の意識の問題を深く掘り下げています。

社会意識がどうなるのかを考える
私たちは人類史上初めて中高年齢以上が多数派を占める社会に生きていくことになります。しかし、今あれこれ論じられている経済問題にしても何にしてもそれはあくまで20世紀中に蓄えられた過去の社会から見た予測に過ぎません。人口構成の予測はついても、それが本当にどんな社会になるのか、いや、どんな社会にすべきか、は老人となっていく私たちが自ら決定していくしかないのです。

今の老人、たとえば1925年生まれの人は、高い幼児死亡率と結核と世界大戦をくぐり抜け、生き残ってきたサバイバーです。しかし、われわれは違います。われわれは、これから生き残っていかなければならないのです。どうやって? ステレオタイプの老人像を打ち壊し、自分らしい人間として、です。

老いは醜く役立たないものか?
誰もが老いることを嫌がります。20代か30代前半を過ぎれば多くの人が自分はもう若くないと思い始めます。その背後に著者は「自然の強大な力」を読み取ります。野生動物に老いたものはいません。生殖しないものは自然によって淘汰されるのです。生殖力の強さが人間の美の基準にも大きな影響を与えています。若さとは美しく役に立つことであるという自然からの強力な刷り込みが社会の隅々まで浸透しています。

老いはその逆、「醜く、役に立たない」という定義です。事実かどうかは疑わしいことです。狩の獲物をとったり、多くの子どもを産んで育てなければ種族が滅亡するというような時代であれば通用したかもしれません。しかし、今はまったく異なる社会を私たちは生きているのです。そこをしっかり認識し、踏みとどまらなければ心理的に大きな問題をかかえることになりかねません。

老いのプロパガンダと戦う
老人はこれからますます社会に流布していくであろうプロパガンダと戦わなければいけません。攻撃は「老人は醜い」「老人はもうろくしている」そうした大きなふたつの波としてやってきます。こんなことを吹き込まれないように。信じればこれが内側に入り込み、自己予言的な呪文として働きます。そうなったら、人類社会に与えられた高齢期という巨大な資産をむざむざ腐らせてしまうことになります。

人間の寿命がどこまで伸びることになるのかまだ科学的な結論は出ていない、と著者は述べています。21世紀を越えてうまれた現代の子どもたちは誰もが100年の人生を生きることになる可能性は大きいのです。私たちは彼らにとってはきたるべき社会への偵察要員です。

80歳から先がないような人生イメージを持ったまま年をとることは破滅的です。私たちが戦いを挑むのは老いの悪しきイメージを撒き散らす社会です。そこには老人も若者もいます。コマーシャル、メディア、プロパガンダ、学者、官僚など実にさまざままな顔をしています。

老いの新しいイメージを獲得することの必要性
実際、私たちの心理や肉体をつかさどっている仕組みの多くは石器時代のままです。しかし、人間は自然のくびきを凌駕し、さまざまな文化を生み、はるかなところまできたのです。ところが、今の生存活動予定時間は人生50年であった時代とほとんど変わっていません。60歳になったら定年、その先は霧のかなたのようなものです。もしかしたらその先に40年以上の時間があるかもしれませんし、心がけひとつでその方がずっと豊かな時間になる可能性は大きいのです。

老人の悪しきイメージを革新することでしか、次なる世代がさらに生殖し、繁栄していく道はないと著者はいいます。わたしたちの時代に埋蔵されているけれどもほとんど浪費されている老人の創造力を引き出すこと、それがわれわれ世代の課題であり、人生の後半にこれほどの課題を背負うことになったのは私たちが最初の世代であると本書は結ばれています。


2030年 超高齢未来 ―「ジェロントロジー」が、日本を世界の中心にする
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東京大学高齢社会総合研究機構

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小生は大学から40年間空手をやっています。
常識はずれのマッチョ・タフガイです。
発明した機械&器具を製作販売している企業家です。
質素な食べ物と運動が、動物として鋭い動き
を可能にすることを体験的に理解しています。
ところで、これも小生の特許製品のひとつです。
いきなりですが・・・・・

パソコンをしながら運動とマッサージができる健康器具を想像できますか?

食事をしながら運動とマッサージができる健康器具を想像できますか?

コロンブスの卵です。

楽にできますが15分続けるとかなりの運動量になります。
足、ふともも、わき腹に応えます。
ウォーキング、ジョギングと同じ効果があります。
でも背中が常にマッサージされているので
使用後も疲れが残らず爽やかです。

このコメントも書きながらCoRonで
運動とマッサージをしています。

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