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2005年8月19日

フランクリン自伝

◇◆第109回◆◇

4121600738フランクリン自伝 (中公クラシックス)
フランクリン Benjamin Franklin
中央公論新社 2004-12

by G-Tools

成功哲学の原点
ベンジャミン・フランクリンは1706年、イギリス植民地時代のボストンに貧しい蝋燭・石鹸づくりをする家で17人きょうだいの15番目として生まれました。12歳で学校をやめて、兄の印刷所に奉公に入り、その後、フィラデルフィアで印刷業を営みながら、科学、学術、政治の分野で広く活動し、後年には独立戦争をめぐる外交交渉で手腕を発揮。建国の父のひとりとして、合衆国独立に大きな役割を果たしました。

本書は明治時代に日本に紹介されて以来、立身出世、成功のバイブルとして、長らく読み継がれてきました。フランクリン自身が、自伝執筆の動機を、貧しいひとりの少年が社会的に大成するにいたった有益な手段を子孫に伝えること、としているのですから、これは『自伝』のまっとうな読み方であろうと思います。

実際、「第六章・十三の徳目の樹立」などは、現在の成功ハウツー本の元祖と思わせる記述に満ちています。自伝の記述からみても、彼は大変実際的な人間で、実生活に役立たない宗教論議などにはかかわりあいをもたないようにしています。また、議論のための議論というものも避けています。

なんでも反対し、反論する議論好きな人間は、一般に人間関係が不幸になっていくと思う。ときには議論で勝利を得るかもしれないが、それで相手の好意をもえることは絶対にない。そして、好意のほうが人生では勝利よりもっと役に立つのである--と彼は言います。勤勉、節約とともにこの対人関係処理法は彼の成功への大きな助けになったことでしょう。

まれにしかおこらない幸運より日々の小さな便利さを
彼は18世紀アメリカのダ・ヴィンチといわれるほど万能の人でした。新聞の発行、社会制度の改革から、効率のよいストーブの考案、街路の泥の効率的な始末の方法まで、さまざまなことを考え実行しています。「人間の幸福というものは稀にしか起こらない大きな幸運よりは毎日起こる小さな便利さから生じるものなのだ」という言葉は、高邁な理想ではなく、日々の身の回りの福祉にこだわったフランクリンの考え方がよくあらわれています。

『自伝』は多忙な生活の中をぬって書かれ、課税権をめぐって領主と植民地が対立し、その交渉の植民地代表として、渡英する1757年、フランクリン51歳のところまでで未完のまま終わっています。彼は1790年、フィラデルフィアで84歳でなくなりますが、「理性の時代」といわれた18世紀をまるまる生きた典型的なアメリカ人でした。

フランクリン自伝 (中公クラシックス)
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コメント

わふわふさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
フランクリンの多才さ、自分の持っている力を生かしきる
能力の大きさに驚きますね。

はじめまして、わふわふといいます。

私も昔、フランクリン自伝を読みました。
彼が20代で「十三の徳目の樹立」を考えていたという話を聞いて、すごく驚いたことを覚えています。とてもいい本だと思います。

また遊びに来ます。

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