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2005年8月 3日

学問のすゝめ

◇◆第104回◆◇

4837918808学問のすゝめ―人は、学び続けなければならない
福沢 諭吉 檜谷 昭彦
三笠書房 2001-03

by G-Tools

平明でわかりやすい実践の書
「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」の言葉はあまりにも有名です。今回本書を現代語訳で読んでみて、実に痛快で実践的な書物だと感じました。本書は1872年(明治5年)、慶応義塾の同志に向けて諭吉が書いた小冊子をまとめたものです。明治という新しい時代、幕藩体制が倒れ、身分制度が消え、日本が近代国家として歩み始めた、そのような空気の中で書かれただけに「さぁ、やろう!」という新鮮な気概に満ちた本になっています。

諭吉が語ることは平易であり、実際的であり、また直接的で痛快です。今まで古い体制の中でわけもわからずありがたがられていたものをばっさり切っています。とりわけ、この時代にまだ根強かった男女の不平等について、はっきりと間違いであるとのべているところに注目したいと思います。この点から、孟子や孔子の教え、仏典の一部さえ、「ここが間違っている」と指摘しているのは見事です。

だからこそ、の「学問のすゝめ」なのです。人に貴賎はない、しかし、学問をしたかしないかによって人生は大きく異なってくる、自分の人生の可能性を広げるために学問をせよ、と諭吉はいいます。学問をし、独立した人格を養い、考える人間になることこそ新しい時代には最も大事なことと彼は考えたのです。

蟻と人間との違い
また、仕事につき、一家をかまえるだけでは充分ではない、と諭吉はいいます。それならば蟻でもしていることだ、と。世の中のため、この世になにかわずかでも新たな活動のあとをいきいきと遺し、これを後代に伝えるのだという意識を持って学問をすべし、と彼はいいます。私たちの今の生活はすべて自然の恩恵と同時に、これまで世界に生きてきた人たちの知恵の恩恵を受けています。そうした意志を持って生きることが人と蟻との違いを作ると述べています。

こうした理想を述べながら、一方、自分の一家の家計の算段もせよ、見苦しくない格好をすべし、といった非常に実際的なアドバイスも書いているところが本書の魅力です。これが気軽な小冊子として発表されことが、逆によかったのでしょう。率直な言葉で語られる福沢諭吉のスピーチを聞く気分で読めるのです。


学問のすゝめ―人は、学び続けなければならない
学問のすゝめ―人は、学び続けなければならない
福沢 諭吉 檜谷 昭彦

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