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2004年10月 4日

考える力をつける哲学の本

◇◆第49回◆◇

4837956076考える力をつける哲学の本―人生の問題解決力を高める!
ルー マリノフ Lou Marinoff
三笠書房 2002-07

by G-Tools

哲学を実学の場へ戻す
この本は「哲学カウンセリング」の実際を実例を交えてやさしく語ったものです。「哲学カウンセリング」は一部の専門家の占有物になってしまった哲学を、もう一度実学の場に戻し、生きていくことに苦悩している人々の役にたてようという試みです。哲学が本来生まれた場所へ復帰させようというのです。

訳者の渡部昇一はアメリカには昔からポップ・フィロソフィー(通俗哲学)という分野があると述べています。古くはH・D・ソロー、R・W・エマソン、ベンジャミン・フランクリン、そして戦後はデール・カーネギーやウエイン・W・ダイアーなどという人たちがその系統に入ります。これらの人々は、大学で哲学を教えているようなプロの哲学者には一段低く見られがちですが、その語るところは実践的で無駄がありません。

本来哲学とはこういうものではなかったか、と渡部はいうのです。ソクラテス、プラトン、アリストテレスらのギリシャの哲人たちは「人間の生き方」を考え、対話し続けました。釈迦も老荘も思索の原点は同じです。いかに生きればよいのかという人間の根源的な悩みに答えずして「哲学」の意味はないのです。

問題を哲学的に考えることによって安定した境地に
本書にはいろいろな人生場面に応じて、さまざまな哲学を応用する具体例が述べられています。しかし、これは単純に私の人生、あなたの人生にあてはめられるものではありません。離婚問題に直面している人と不治の病と診断された人の悩みの本質は大きく異なるからです。その人の年齢、性別、考え方といった差もあるでしょう。当たり前のことですが、この本はすぐに効く鎮痛剤の役目を果たしてくれるわけではありません。考え方の方向を指し示してくれるだけです。

自分のためになる哲学を自分のものにし、ある程度安定した境地にたどりつけるのは、問題に対して哲学的に考えることができる人である、とマリノフ博士はいいます。自分で考えなければいけません。これはたやすいことではありませんが、罪の意識に悩まされたり、逃避したり、依存したり、自己犠牲に甘んじたり、恨みをもち続けたり、自殺したりするよりは、よほどいい方法です。

すでに起きてしまったことは、どうにもなりません。過去に縛られるよりはどんなときも現実を直視して前進すべきなのです。「忍耐と勇気をもてば―この二つは極めて大切な美徳である―必ず変化が訪れる。そう考えることに、どれだけ救いを見出せるかはあなた次第である。私たちはどんな時でもあらゆることから―恐ろしいことからでさえ―人生の意味と目的を引き出すことができるのである」。


考える力をつける哲学の本―人生の問題解決力を高める!
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ルー マリノフ Lou Marinoff

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