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2004年8月10日

ライプニッツ術

◇◆第44回◆◇

4875023677ライプニッツ術―モナドは世界を編集する
佐々木 能章
工作舎 2002-10

by G-Tools

万学の天才
ライプニッツはドイツ生まれの17世紀のもっとも優れた知識人のひとりです。知識人と呼ぶしかないのは彼があまりにも幅広い仕事をなしとげた「万学の天才」だったからです。幼いころから神童ぶりを発揮し、おもちゃよりラテン語の書物に興味を示したといいます。人類史上にはときおり奇跡としかいいようのない天才が現れて、常識では考えられないような仕事をすることがあります。彼はまさにそういった人でした。

彼は生涯におよそ10万ページにも及ぶ自筆原稿を残しています。しかもその範囲というのが神学、法学、医学、哲学、文献学、言語学、地理学、年代学、系譜学、紋章学、考古学、古銭学、一般史、ドイツ・オーストリア史、ドイツ地方史、ヨーロッパ各国史、アジア史、国際法、政治学、経済学、数学、軍事学、物理学、力学、化学、自然史、技術、文学史、科学協会、文書館、図書館(ボーデマンの分類による)だというのですから、まるで歩く大学です。それでいながら、彼は一度も大学に職を得たことはありませんでした。

これだけ膨大な仕事をしていながら、彼には定番の全集というものがありません。いや、実際今定番の全集をめざして「アカデミー版全集」というものが、刊行されているのですが、1923年に一冊目が出て以来、第二次世界大戦や東西ドイツ分断の影響もあって遅々として進まず、完成まであと何年かかるのかさえわかりません。なぜこれほど作業が難航しているかといえば、ここに彼の「万学の天才」の壁が立ちふさがっているのです。専門家が必要ですし、一方で学際的な目をもった人も必要です。あまりにも幅広い彼の著作をすべて編集するためには、もうひとりライプニッツが必要だといっていいのです。

日本でも『ライプニッツ著作集』(工作舎)が刊行され、これがライプニッツの著作の日本における定番になっているようです。著者はこのうちの半分の巻の翻訳を担当しているライプニッツ研究の第一人者です。この本では専門分野に深入りすることなく、ライプニッツという奇跡がどのように活動したのかということに焦点を絞り、「発想術」「私の存在術」「発明術と実践術」「情報ネットワーク術」という4つの切り口からライプニッツに迫っています。

旺盛な好奇心と行動力
全体をとおして浮かび上がってくるのはライプニッツという人間の旺盛な好奇心と行動力です。彼は興味をひかれたものは何でも取り入れ、超弩級の「知」のエンジンで時代を爆走しました。手紙と馬車しかない時代にヨーロッパ中の知識人と情報を交換し合い、中国にいるイエズス会神父とまで手紙のやりとりをしていました。

ライプニッツをひとことで言い表すのが「万学の天才」ですが、著者はここに「マルチタスキング」という言葉をあてはめています。若いころから多彩な活動を始め、それを生涯にわたって貫きました。「『多彩』という横糸と『継続』という縦糸とから織りなされるのがライプニッツという人間である」と著者は述べています。彼は生まれたときからすでに多彩で、死ぬ直前まで旺盛な活動を続けました。この世のすべてを知りたい、彼はそう思い、それに向かって邁進しました。幸せな生涯だったのではないでしょうか。


ライプニッツ術―モナドは世界を編集する
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