2012年1月18日

日本のふるさと奈良

◇◆第727回◆◇

4819111140日本のふるさと奈良
安野 光雅
産経新聞出版 2010-09

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安野光雅が描く奈良の風景画と仏画
産経新聞に連載されたものを書籍化しています。彼は文章も素晴らしいですから、巻末の「あとがき」「作品解説」もおもしろく読めます。自身は無宗教だから、仏像を彫刻作品としてみると書いています。興福寺の阿修羅像、法隆寺の百済観音、東大寺戒壇院の四天王像などについて、その素晴らしさに打たれたことを述べています。これらを私も拝観したことがあります。いずれも理屈抜きに素晴らしい、群を抜いて素晴らしい仏像です。何がどう素晴らしいのか、言葉ではうまく言えず、筆舌に尽くしがたいとはあのことかと思います。そういう感覚が本書の中でも述べられていました。

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2012年1月 3日

一色一生

◇◆第726回◆◇

4763004441一色一生
志村 ふくみ
求龍堂 2005-01

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染と織にかけた生涯
人間国宝である染色作家の随筆集です。随筆という分野は、"エッセイスト"という肩書きの人が書いたものよりも、何か専門分野で秀でた仕事をなした人が書いたものの方がはるかにおもしろいものです。本書もそのとおりで、冒頭の「色と糸と織と」から、自然の植物を使って染めるということの奥深さに引き込まれます。桜を使って桜色に染めるには花が咲いた後ではなく、咲く前の木を使う、花を咲かせるために木が溜め込んだ何ものかをいただいて染めるといいます。自然の営みのもつ不思議さ、神秘さ、それを活かす人間の知恵、その一端に触れることができます。

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2011年12月22日

嗜癖する社会

◇◆第725回◆◇

4414429080嗜癖する社会
アン・ウィルソン・シェフ  斎藤 学 (監訳)
誠信書房 1993-03-01

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嗜癖(アディクション)とは何か
嗜癖と中毒は異なります。中毒とは毒にあたることであり、毒を摂取した結果として生じる好ましからざる生理的変化です。中毒には主体(個人)が好んでそうしたかどうか、は関係がありません。しかし、嗜癖は主体の意志が問題になります。その中毒が主体に陶酔(快体験)として感じられて、嗜癖が生じるのです。嗜癖には、ある種の行為に関する強迫観念が共通しています。簡単に言えば「それをせずにはいられない」ということでしょうか。

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2011年12月 8日

やさしく読み解く日本絵画

◇◆第724回◆◇

4106021064やさしく読み解く日本絵画―雪舟から広重まで (とんぼの本)
前田 恭二
新潮社 2003-08

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中世から近世の代表的絵師
15世紀から19世紀までの日本を代表する絵師11人を取り上げて解説しています。収録されているのは、雪舟、狩野永徳、長谷川等伯、俵屋宗達、尾形光琳、英一蝶、池大雅、円山応挙、伊藤若冲、葛飾北斎、歌川広重です。ひとりあたり10ページほどをさき、時代背景と生涯をおりまぜながら代表作はカラーで入れられています。中世から江戸にいたる日本絵画を知るには手ごろな入門書でしょう。

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2011年10月28日

アルウィンの楽しい水彩教室

◇◆第723回◆◇

4753413640アルウィンの楽しい水彩教室―一歩一歩上達への道
アルウィン クローショー Alwyn Crawshaw
岩崎芸術社 1997-12

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どのような画材で絵を描くにも参考になる
著者は英国の著名な風景画家です。本書は透明水彩画で風景を描くコツを書いています。しかし、他の画材を使う場合でも参考になることがいろいろ書いてあります。画材に何を使おうと、絵を描くということの根本的な部分、ものの見方、画面配置(構図)といったものは共通するからです。ですから、写生を基本にして絵を描く人なら、絵具や筆の扱い方を飛ばして読んでも十分参考になると思います。

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2011年10月 4日

ベルト・モリゾ

◇◆第722回◆◇

4093875928ベルト・モリゾ―ある女性画家の生きた近代 (小学館ヴィジュアル選書)
坂上 桂子
小学館 2005-12

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ベルト・モリゾとはどういう画家か
日本で印象派は大変人気があります。マネ、モネ、ルノワール、ドガといったところはもちろん、シスレー、ピサロといった名前もよく知られています。しかし、モリゾは彼らに比べると知名度が落ちます。印象派が実際に活躍した時代、「もっとも正統的な印象派」といわれたにもかかわらず、です。素早いタッチで光をとらえたその絵は、印象派をも超えようという新しい何かをはらんでいます。あまり知られないままだった最大の原因は、モリゾが女性だということにあるでしょう。長く芸術の世界では女性画家はほとんど存在を認められませんでした。

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2011年9月 8日

安野光雅の世界―1974→2001

◇◆第721回◆◇

4582943594安野光雅の世界―1974→2001 (別冊太陽)
安野 光雅
平凡社 2001-03

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さらりと描かれたスケッチの見事さ
画家であり、絵本作家でもある安野光雅の著作70点を選び、挿画と彼自身の「あとがき」を収録しています。画家ですから、絵が見事なのはもちろんですが、文章の見事さにも脱帽します。いずれもそこはかとないユーモアが漂っており、氏のお人柄がしのばれます。科学や数学に造詣が深く、それを生かしただまし絵もたくさん載っています。

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2011年9月 3日

怖い絵2

◇◆第720回◆◇

4255004277怖い絵2
中野 京子
朝日出版社 2008-04-05

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美しさの変遷
恐ろしい、怖いというのはいろいろな意味、背景があり多様なものなのだ、と前著とこの本を読んであらためて教えられました。人間のいろいろな感情はどれもみんな複雑で多彩な顔を持っており、それがまた人間の面白さでもあるのでしょう。本書はルネサンス期から20世紀までの絵画からランダムに選ばれているため、怖いということだけでなく、西洋史の勉強もできます。描かれた人々の体型や服装から美的感覚、何を美しいと思うかが時代によって変わっていくこともわかります。

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2011年9月 1日

怖い絵

◇◆第719回◆◇

4255003998怖い絵
中野 京子
朝日出版社 2007-07-18

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怖い絵はなぜ怖いか
西洋名画を題材にその中にある恐怖について書いてあります。怖い絵の何が怖いのかといえば、人間というものの怖さでしょう。取り上げられている絵によってその怖さは微妙に違いますが、一番怖いのは人間、地獄はこの世にある、と言われる言葉をあらためて思い起こします。絵はゴヤの『我が子を喰らうサトゥルヌス』のように一目見るなり恐ろしい、と思うものもあれば、ドガの『エトワール、または舞台の踊子』のようにこの絵のどこが怖いのか解説されなければわからない、というものまでさまざまです。

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2011年8月24日

美人画―描き方と鑑賞

◇◆第718回◆◇

4817036133美人画―描き方と鑑賞
今野 由恵
日貿出版社 2007-06

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美人画は日本独特の人物画
美人画とは、広義に解釈すれば女性を美しく描いた絵画ということになります。しかし、本書が対象とする美人画は伝統的な日本画のジャンルにおいて、独自の発展史と様式を持った他に類例のない人物画である、と著者は述べています。本書では序盤で美人画の歴史、その特徴、画材について取り上げ、その後著者の作例を参考に実際に美人画を描けるように工夫されています。下絵もあり、それをコピーすればすぐに表紙のような美人画の下絵を手にすることができます。

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2011年8月17日

ファーブルの昆虫記

◇◆第717回◆◇

4001145138ファーブルの昆虫記 (上) (岩波少年文庫 (513))
ジャン・アンリ・ファーブル  大岡 信(訳)
岩波書店 2000-06-16

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昆虫の世界の驚異を伝える色褪せない名著
子どものとき読み損ねた名著というのはあるものです。それを大人になってから読んでも、おもしろくない、ということもままあることです。しかし、『ファーブル昆虫記』は例外です。何より昆虫に関する記述が素晴らしく、たとえ昆虫に興味がない人でも、読めばその世界の不思議さ、見事さに驚嘆するでしょう。本書は少年向けの抄訳であり、比較的なじみ深いセミ、コオロギ、カマキリ、クモといった昆虫が取り上げられています。また、オオタマオシコガネやツチスガリといった驚くべき虫の世界も取り上げられています。

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2011年7月22日

日本の図像―花鳥の意匠

◇◆第716回◆◇

4894446243日本の図像―花鳥の意匠
ピエ・ブックス 2007-09-21

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花鳥画の代表作を堪能
日本の花鳥画は中国の影響の下に始まり、やがて日本独自の発達を遂げて現代に至っています。本書は室町時代末期あたりから昭和に及ぶ時代を代表する画家の作品を見開きで鑑賞できるように編集されています。モノクロとカラーが交互に入っており、文章はほとんどなく、絵画鑑賞に重点がおかれています。花鳥は工芸との関係も深いことから、後半三分の一は染織、漆工、金工、陶磁の分野での作品も紹介されています。

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2011年7月20日

「芸術力」の磨きかた

◇◆第715回◆◇

4569628974「芸術力」の磨きかた
林 望
PHP研究所 2003-06-17

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芸術は生きていくために必要
作家であり、書誌学者でもある著者は絵、能楽、声楽など幅広く「芸術」といわれるものに親しんでいます。本書の中で著者が述べたいことの中心は以下の三点ではないか、と思います。
1)芸術は人間生活に不可欠のものである
2)芸術(アート)は技術(アート)の基礎が必要なので、訓練がいる
3)受身だけではなく自分で表現することが大事

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2011年6月11日

ミクストメディア―用具と基礎知識

◇◆第714回◆◇

456838012Xミクストメディア―用具と基礎知識 (「アートスクール」シリーズ)
マイカル ライト Michael Wright
美術出版社 1995-10

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いろいろな画材を組み合わせて描くときのヒントに
私はいま、万年筆、筆ペン、マーカーといった水性顔料インクで線描し、その後、クレオロール、クーピーペンシル、オイルパステルなどで彩色するという方法で絵を描いています。この絵をどう分類すればいいものか、と考えていました。単なるオイルパステル画でもないし、色鉛筆画でもありません。そう考えていたら、これは「ミクストメディア」と呼ばれる範疇に入る絵なのだと気がつきました。「ミクストメディア」とは、幾つかの異なった画材を結び付けて絵を描く技法のことです。

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2011年5月13日

消えたカラヴァッジョ

◇◆第713回◆◇

4000225642消えたカラヴァッジョ
ジョナサン・ハー  田中 靖 (訳)
岩波書店 2007-12-12

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四百年ぶりに陽の目を見た名画
カラヴァッジョはイタリア・バロックの劈頭を飾る天才画家です。39年に満たない生涯で残した絵のうち、今も所在がわからないものがあると同時に、真贋の境界線上にあるものも少なくありません。十七世紀初頭に描かれた彼の『キリストの捕縛』が、1990年、アイルランドのイエズス会施設で発見されました。本書はその発見に至った経緯、それに関わった人々に関するノンフィクションです。その辺のミステリーなどより数段面白く読めます。また、絵の真贋を決定付けるものは何かについての知識も得られます。

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2011年5月 3日

油彩画超入門 光と影を描く

◇◆第712回◆◇

4062692708油彩画超入門 光と影を描く (The New Fifties)
中西 繁
講談社 2008-05-27

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自分なりの方法を編み出す
油絵の風景画で主に光と影をどのように描けばいいかについて説明されています。著者は大学で建築を学び、専門的な美術教育を受けた経験はありません。自分で創意工夫してこれらの描き方を身につけたと記しています。もともと絵とはそういうもので、正しい方法などというものはなく、その人がその人なりに模索して身につけていくものなのでしょう。私は油絵を描きませんが、それでも絵を描くことへの姿勢、考え方という点でいろいろ参考になりました。

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2011年5月 1日

修復家だけが知る名画の真実

◇◆第711回◆◇

4413040821修復家だけが知る名画の真実 (プレイブックス・インテリジェンス)
吉村 絵美留
青春出版社 2004-01

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絵画修復の過程で明らかになること
絵画修復家とは、絵の表面についている汚れや他者の加筆を落としたり、キャンバスや紙の損傷を直したり、油絵の場合は亀裂や剥落の進行を止めるといった仕事です。修復するためには、冷静に客観的に絵を見る必要があり、芸術家であるよりは、科学者、技術者に近い存在であるとまえがきにあります。描かれた瞬間から絵は劣化していくものであり、私たちが歴史上の名だたる画家の絵画を鑑賞できるのは、こうした修復家の助けがあってのことです。

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2011年4月23日

音楽史を変えた五つの発明

◇◆第710回◆◇

4560081131音楽史を変えた五つの発明
ハワード グッドール  松村 哲哉(訳)
白水社 2011-02-22

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音楽に決定的な役割を果たした五つの出来事
原題は「Big Bangs」といい、日本語の題名は副題をそのまま使っているようです。著者は58年イギリス生まれ、ベースはクラシックの作曲家で、『ミスター・ビーン』などのテレビ番組のテーマ音楽も手がけています。本書は音楽の発展にとってエポックメーキングとなった5つの出来事を取り上げたテレビ番組をもとに書かれています。その五つとは、記譜法、オペラ、平均律、ピアノ、録音です。他にもあるでしょうが、交響曲の形式のように、長い歴史を経て徐々に整えられたものではなく、これらはある日突然登場して歴史を変えたといっていいものであり、そういうものだけを取り上げたと書いてあります。

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2011年3月31日

スイッチ!

◇◆第709回◆◇

4152091509スイッチ!
チップ・ハース ダン・ハース  千葉敏生(訳)
早川書房 2010-08-06

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変われないと思った方が無難
変わりたいと思っているのに変われないのはなぜか、そして、変わるためにはどうすればよいか、について書いてあります。成功事例が数多く載っており、いかにもと思います。ここの事例の中にあるいくつかは自分も経験しており、効果はあるでしょう。ただし、著者たちも認めているようにあらゆることに対して変化を起こせるというものではありません。こういう成功哲学のハウツーものは、読んでいるときはいかにもできそうな気がして気分が高揚しますが、実際にできるのは一割もあればいいように思います。

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2011年3月27日

回復力

◇◆第708回◆◇

4062879794回復力~失敗からの復活 (講談社現代新書)
畑村 洋太郎
講談社 2009-01-16

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失敗を受け止め回復するために
失敗学を提唱している著者が、失敗をどう受け止め、回復するかについて述べています。失敗とは、「人の行動や選択の結果、その人や周囲の望まない結果になること」、です。人は誰でも失敗するものであり、人は大きな失敗からすぐに立ち直れるほど強くはありません。失敗の結果、うつ状態になったり、自殺に追い込まれたりすることもあります。そうならないためにどのように失敗とつきあえばいいのか、のヒントが書いてあります。

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2011年2月24日

透明水彩でスケッチ散歩

◇◆第707回◆◇

4262145123透明水彩でスケッチ散歩―今日も一枚描いてみよう
青木 美和
池田書店 2004-05

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さらりと描いているようで実は確かなテクニックがいる
図書館に行くと、スケッチ関連の技法書がたくさん並んでいます。一から始めるなら、それらをひと通り見て、自分が好きだと思う画家の描き方を真似てみるのがいいように思います。著者の絵は透明水彩のにじみやぼかしの効果を最大限に生かし、最小限の筆さばきで光を描いている、という印象を受けます。さらりと描かれているようでありながら、かなりしっかりとしたものを見る目がないとここまで描くのは容易ではないでしょう。

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2011年2月20日

人生をどう生きますか?

◇◆第706回◆◇

4434069640人生をどう生きますか?
ジッドゥ・クリシュナムルティ  大野龍一(訳)
コスモスライブラリー 2005-10

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クリシュナムルティは何を伝えようとしたのか
クリシュナムルティは1895年にインドで生まれた思索家です。14歳で神智学教会の指導者リードビーダーに見出され、世界教師の器として霊的修行を開始します。ヨーロッパで学んだ後、インドに戻り<星の教団>の指導者となります。しかし、34歳のときに「真理は組織化しえない」として教団を解散し、以後、世界中を巡って講話と著作を通し人間の覚醒を促し続けました。本書は彼の講話や著作からのアンソロジーで、クリシュナムルティが何を伝えようとしたのか、を手早く知ることができます。

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2011年1月27日

統合心理学への道

◇◆第705回◆◇

4393360354統合心理学への道―「知」の眼から「観想」の眼へ
ケン・ウィルバー  松永太郎(訳)
春秋社 2004-04

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常に、すでに
ケン・ウィルバーは本書の中で彼はもはや「トランスパーソナル心理学」という言葉を使わない、と述べています。彼はニューエイジ的なものの見方には反対しているのですが、この言葉を使う限り、自分自身もその中のひとりとみなされるからです。本書は、彼が提唱する意識のスペクトルと”四つの象限”を結びあわせる「統合心理学」について詳しく述べたものであり、彼のこれまでの歩みの集大成のようです。内容は、『科学と宗教の統合』をさらに進めたものです。

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2011年1月26日

科学と宗教の統合

◇◆第704回◆◇

4393360346科学と宗教の統合
ケン・ウィルバー  吉田 豊(訳)
春秋社 2000-10

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科学と宗教はなぜ統合の必要があるのか
科学と宗教、この二つは長らく戦争状態にあり、この状況をなんとかする方法を見つけなければならない、とウィルバーは述べ、その道を示唆したのが本書です。また、「科学」と「宗教」という言葉について、これをどういう意味で使うかが和解には重要であることから、そのことについても述べています。まず科学ですが、科学とテクノロジーは非常に有益なシステムではありながら、それ自身では意味と価値を欠いています。科学が私たちに教えてくれるのは何であるかであり、どうあるべきかではありません。

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2011年1月12日

グレース&グリット

◇◆第703回◆◇

4393364031グレース&グリット―愛と魂の軌跡〈上〉
ケン ウィルバー Ken Wilber  伊東宏太郎(訳)
春秋社 1999-10

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妻の乳がんとの闘病を支えたケン・ウィルバーの記録
トランスパーソナル心理学最大の論客といわれるケン・ウィルバー、彼が出会ってひと目で恋におち結婚したトレヤは、結婚式の直後に極めて悪性度の高い乳がんと診断されます。本書は、五年の闘病生活の後、亡くなった彼女の日記とウィルバーの言葉を重ね合わせながら、二人が手を携えて歩んだ闘病の道を描いています。ケンは仏教的な瞑想を長年続けており、トレヤもまた瞑想や霊的なことへの関心が高く、難病と生きる人(患者も介護者も)すべてが本書から教えられることは多いでしょう。

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2011年1月 9日

無境界

◇◆第702回◆◇

4892031143無境界―自己成長のセラピー論
ケン・ウィルバー  吉福 伸逸(訳)
平河出版社 1986-06

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この世に本来境界はない
私たちの感じる葛藤、不安、苦しみ、苦悩は、私たちが勝手にでっちあげた境界によって生み出される、と著者は述べ、そのありさまとそれに関して何ができるかを明らかにしています。本来この世界に境界はないのですが、私たちは便宜上境界をもうけないとこの世界を知ることができません。いわば境界は地図のようなものです。ところが地図を便利に使うのではなく、いつの間にかそれに縛られ、地図とリアリティの区別がつかなくなっているのが私たちの現状です。

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2010年12月12日

パパラギ

◇◆第701回◆◇

4797352396パパラギ はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集 (ソフトバンク文庫 シ 11-1)
ツイアビ エーリッヒ・ショイルマン(編) 岡崎 照男(訳)
ソフトバンククリエイティブ 2009-02-18

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パパラギはモノと金とまやかしの暮らしにとりつかれている
副題にあるとおり、本書は初めてヨーロッパ文明に触れたサモアの酋長が、島の人々にそれについて語ったことをまとめるという体裁をとっています。1920年に初版が出版されており、ツイアビが見たヨーロッパの暮らしは、すでに一世紀近く前のものです。それでも彼が語っていることの大半は今でもあてはまり、それどころか、ますます加速しています。

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2010年11月30日

君あり、故に我あり

◇◆第700回◆◇

406159706X君あり、故に我あり (講談社学術文庫)
サティシュ・クマール  尾関 修・尾関沢人(訳)
講談社 2005-04-09

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つながりを重視する思想
この表題はサンスクリット語の格言「ソーハム」を著者流に訳したものであり、デカルトの「我思う、故に我あり」へのアンチテーゼです。デカルトの二元論の特徴は、すべてを分割、分類、分析するということです。精神と物質を分け、心と体を分け、世界と個はばらばらに存在できると宣言したのです。ここに加わったのがニュートン物理学、ダーウィン生物学、フロイト心理学でした。これらはすべて自我を中心にとらえており、これこそが今日の環境や社会や精神の危機の根底にある、と著者は指摘しています。

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2010年10月28日

カラヴァッジョ巡礼

◇◆第699回◆◇

4106022001カラヴァッジョ巡礼 (とんぼの本)
宮下 規久朗
新潮社 2010-01

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光と闇をあわせもった天才、カラヴァッジョ
カラヴァッジョは十七世紀初頭に活躍し、バロックの幕開けを飾った西洋美術の巨匠のひとりです。数多くの宗教画の名作を残し、38歳で早世します。驚異的な絵の才能を持つと同時に、暴力的で問題の多い性質の持主でもあり、画家としてローマで売れっ子になりながら、暴力事件が絶えず、ついに35歳のときに殺人を犯して逃亡者の身となります。

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2010年10月24日

ゴッホのフランス風景紀行

◇◆第698回◆◇

4763099221ゴッホのフランス風景紀行―パリ、アルル、サン・レミ、オーヴェール
佐々木 三雄 佐々木 綾子 小野 規
求龍堂 1999-08

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四年あまりで表現の極限に至ったゴッホ
ゴッホは37歳で亡くなっています。それすら夭折だと思いますが、さらに驚くのは画家になろうと決めたのが27歳の時で、現在代表作として知られているものは33歳になる直前にパリに来て以降、わずか四年あまりの間に描かれたものだということです。正式な美術教育はほとんど受けておらず、あのゴッホを特徴づける強烈な色彩とうねりは人生の最晩年に獲得した表現です。オランダで描いていたころの絵は暗いどんよりとした色彩ですが、フランス、特に南仏のアルル滞在から色彩が劇的に変わっていったようです。

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